中京旋風支えた主将の覚悟 4強、最後に達成感

2019年08月21日 09:21

準決勝の3回裏2死満塁のピンチにマウンドに集まり、赤塚健利投手(右)と言葉を交わす中京学院大中京の藤田健斗主将(左)=20日午後1時38分、兵庫県西宮市、甲子園球場(撮影・堀尚人)

準決勝の3回裏2死満塁のピンチにマウンドに集まり、赤塚健利投手(右)と言葉を交わす中京学院大中京の藤田健斗主将(左)=20日午後1時38分、兵庫県西宮市、甲子園球場(撮影・堀尚人)

 今夏初めて相手の校歌を聞き終え、満員のアルプス席へあいさつにいくと、主将の目からはこらえていた涙が一気にあふれ出した。第101回全国高校野球選手権大会は20日、甲子園球場で準決勝を行い、初の4強入りを果たした岐阜県代表・中京学院大中京は星稜(石川)に0-9で敗戦。県勢63年ぶりの決勝進出とはならなかったが、準々決勝まで3試合連続で見せた終盤の逆転劇は、全国の高校野球ファンを魅了した。

 その中心にいて、終盤の驚異的な粘りをナインの間に植え付けたのが、橋本哲也監督が「このチームは藤田のチーム。全て任せている」と語った藤田健斗主将。主将となってから「嫌われ役」に回り、勝つことへの執念を仲間に伝え続けた。

 1年秋から4番で捕手。今チームからは主将という重責も加わり、「ほんとは嫌だが、自分が厳しいことを言わなくては」と、練習中は誰よりも仲間に厳しく接した。口酸っぱく伝えたのが「そのプレーで夏勝てるのか」。ノック中はミスが続いた仲間とけんかするほど言い合ったことも。だが、練習後は誰よりも遅くまでバットを振っている姿を全員が知っていたからこそ、副主将の高畠和希選手は「あいつが言うことは絶対。健斗がキャプテンだから一つになれた」と、仲間からの信頼は絶大だった。

 岐阜大会中は右肩痛の影響で思うようなプレーができなかったが、「一切弱音は吐かず、試合になったらいつも全力だった」と振り返ったのがエース不後祐将選手。高畠選手は「自分たちで打って助けたかった」と、全員心のどこかに主将を助けたい思いを持ちながら戦っていた。

 姿を消すこととなった聖地での準決勝で、何度も逆転劇を演出してきた七回に藤田主将は右前打を放ち、橋本監督は「やっぱりあいつがチームの柱。ここまでよくやってくれた」とねぎらいの言葉を掛ける。

 就任当初は「どうすればいいか分からない」と語っていた藤田主将だったが、中京を初の全国ベスト4へと導き、見事にまとめ上げた。「この仲間と、ここまで野球ができて良かった」。日本一を果たせなかった悔しさより、やり切った達成感の方が大きかったから、最後は涙の奥に少しだけ笑みを浮かべていた。


カテゴリ: 高校野球