岐阜県最低賃金851円、愛知と75円差 働き手の流出懸念

2019年09月14日 08:29

 岐阜県の最低賃金が来月1日、時給825円から26円増の851円に引き上げられる。3%台の引き上げ率は3年連続。都道府県ごとに決める2019年度の地域別最低賃金は政府の強い主導を受け、全国平均が初めて900円を超え、東京などで千円台に達した。都市部を中心に賃金上昇が加速する一方、県内の経済団体からは働き手の県外流出を懸念する声が広がる。

 厚生労働省が公表した全国の最低賃金の改定額は、全国平均の時給が27円増の901円となった。東京、神奈川は千円を超える一方、東北や九州など17県が700円台にとどまる。

 岐阜は、引き上げ額、引き上げ率とも最低賃金額を時給算定するようになった02年度以降で過去最高となった。改定を受け、5万4千人以上の労働者の賃金引き上げが必要になる。

 県商工会議所連合会の村瀬幸雄会長は「愛知の最低賃金は28円増の926円になり、引き続き働き手の県外流出が懸念される」と隣県への人材流出に危機感を募らせる。全国的な賃金上昇には「賃上げで生産性向上が期待できる一方、労務費の増加で企業体力の低下や雇用の抑制などの影響も危惧される」と指摘する。

 県経営者協会の小川信也会長は、最低賃金の急激な引き上げに「中小零細企業の雇用や経営への深刻な影響が懸念される」と強調。同一労働同一賃金への対応や定年後の再雇用など各企業の待遇改善の取り組みに触れ、「生産性向上に資する実効性ある支援策の拡充や手続きの簡素化を求めたい」と訴えた。

 県経済同友会の中村源次郎筆頭代表幹事は「最低賃金制度が福祉政策の枠組みを超え、デフレ脱却のツールに姿を変えているように見える。引き上げ幅は福祉政策の範囲内にとどめるべき」と引き上げに慎重な姿勢を求める。愛知との最低賃金の差には「労働者が愛知県に向かえば、人手不足に拍車が掛かり、最低賃金をはるかに上回る賃金で雇用せざるを得ない」と懸念を示す。

 最低賃金の引き上げを求めてきた連合岐阜の高田勝之会長は、大幅アップを評価する一方、都市部と地方の地域間格差が最大223円になったことを挙げ、「労働力が都市部に集中しないよう地域格差の是正に取り組んでほしい」と注文を付けた。


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