まちづくりへ二刀流 高山移住、カフェで働き情報収集

2019年09月15日 09:05

コーヒーを入れながら外国人観光客の話を聞く安江悠真さん=高山市花川町、トラベラーコーヒーハウス

コーヒーを入れながら外国人観光客の話を聞く安江悠真さん=高山市花川町、トラベラーコーヒーハウス

 岐阜県高山市中心部にあるおしゃれなカフェの店長は、建設コンサルタント―。訪日外国人観光客のインバウンド需要の勢いが増す観光都市・高山で、カフェを訪れる訪日客や観光業に関わる店主から生の声を集め、まちづくりに生かそうとする、興味深い取り組みが進められている。

 このカフェは2017年9月27日にオープンした「トラベラーコーヒーハウス」(同市花川町)で、店長は安江悠真さん(30)=同市花岡町=。安江さんは、建設系の大日コンサルタント(岐阜市)の社員。

 入社6年目の安江さんは2年半前、「リアルなまちづくりのプラン作成には、地元で生の声を聞くことが必要」と、カフェを拠点にした情報収集を会社に提案。ゴーサインは出たものの、会社に飲食業のノウハウはなく、安江さん自身も店舗経営の知識や経験はゼロ。「若さと勢い」で岐阜市から高山市に移り住み、店を開いた。

 カフェは対面で話しやすいようカウンターの8席。客の7割は外国人で、英語が堪能なスタッフと一緒に接客する。会話からは「静かな古都をイメージして来たのに人が多過ぎる」「ベジタリアンへの情報が少ない」など、観光客のリアルな意見が寄せられる。

 今は安定しているカフェ経営だが、オープンから1年は材料の仕入れやスタッフのシフトなど切り盛りに追われた安江さん。それでも徐々に「飲食店やゲストハウス、土産物店など、インバウンドに関わる地元経営者らとのつながりができてきた」という。

 今年1月からは「よるの部」と題して、店主ら有志を集めて月1回の会合を開いている。テーマは「外国人観光客のマナー」「より良い外国人向け観光案内の方法」など。

 会合が、観光問題の改善につながった例もある。中国人が飲食店に食べ物の持ち込みをする事例がしばしばあり、店主らは頭を悩ませていた。話し合いの中で、中国では持ち込みを許している店が多いことを理解。その後、張り紙をするなど、店の意思をはっきり示すことで、持ち込みがなくなっていったという。

 カフェは間もなく2周年。観光客や店主らの声は、地方創生の一端を担おうとする会社のデータとして着実に蓄積され、行政への提案に向けた準備も進む。大学時代を岩手県で過ごした安江さんは、東日本大震災を経験。まちづくりに携わる仕事に就くきっかけとなった。安江さんは「地元をより良くしたい」という熱い思いで、きょうもコーヒーを入れている。


カテゴリ: くらし・文化 社会