貞奴描くオペラ再び 日本初の女優が眠る各務原市で市民有志

2019年09月19日 09:04

本番に向けて稽古に熱が入る「OPERA 貞奴」の出演者たち=各務原市蘇原中央町、市文化ホール

本番に向けて稽古に熱が入る「OPERA 貞奴」の出演者たち=各務原市蘇原中央町、市文化ホール

 明治、大正、昭和の時代に世界を舞台に活躍した、日本初の女優、川上貞奴(1871~1946年)。今月29日、貞奴が眠る岐阜県各務原市で、貞奴の生涯を描いた創作オペラ「OPERA 貞奴」が市民有志によって上演される。これまでにも市内で上演された同作だが、今回はプロジェクターを活用した新たな演出が見所で、貞奴役のソプラノ歌手金光順子さん(67)=同市蘇原大島町=は「貞奴のような魅力的な人物が、各務原とゆかりがあるということをオペラを通じて多くの人に知ってもらいたい」と話す。チケットは早くも完売となったが、当日キャンセルがあった場合に当日券を販売する。

 貞奴は、東京都の両替商の娘として生まれ、7歳で芸者置き屋の養女となる。夫の川上音二郎と共に欧米各国で公演し女優として活躍。夫の死後、電気事業などで成功した実業家の福沢桃介を支え続けた。各務原市には、貞奴が生前に建立し霊廟(れいびょう)がある貞照寺や、別荘の「旧川上家別邸(萬松園)」があり、ゆかりが深い。

 オペラは、金光さんが代表を務める「創作オペラ『貞奴』プロジェクト」が主催。2011年には貞奴の子ども時代から音二郎と結婚するまでを描いた「青嵐編」を、13年には「完結編」を上演している。今回は市文化会館が公募した「市民チャレンジ応援企画事業TUNAGU」の採択を受けて上演する。

 プロジェクトのメンバーは約50人で、出演者は貞奴役の金光さんと、音二郎と桃介の2役を演じる愛知県犬山市出身のバリトン歌手岡部敬太郎さんを中心に、プロジェクトのメンバーが合唱や演奏を行う。今年6月から練習が始まり、8月の舞台稽古では、今回の公演が初の試みとなるプロジェクターによる当時の写真や過去の舞台の写真の投影、出演者の立ち位置の調整なども行われた。緊張感が漂う中でも、出演者それぞれが会場いっぱいに伸びやかな歌声を響かせた。金光さんは「今まで地元で手作りで上演してきたからこそ根付き、今回の公演も実現できたと思う。貞奴に応援されるような気持ちで、貞奴の思いを声で表現したい」と意気込みを語った。

 公演は各務原市蘇原中央町の市文化ホールで29日午後2時から。入場料は千円。

【記者のひと言】

 女性が自由に活動できる時代ではなかったはずなのに、貞奴の人生はエネルギーにあふれている。取材中に金光さんと「そんな貞奴のパワーにあやかりたい」とうなずき合った。2007年から毎年、12月の貞奴の命日には奉納コンサートを開く金光さん。再来年の生誕150年の節目には、さらにパワーアップしたオペラを上演したいと話す姿に、貞奴にも負けぬ熱い思いを感じた。


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