湯が湧く寺、お宝眠る 揖斐郡池田町・弓削寺

2019年09月27日 09:13

  • 源泉掛け流しの展望露天風呂=揖斐郡池田町段、「湯元 湯華の郷」 
  • 300年前のままの天井絵=同、弓削寺 

 池田山西麓の標高200メートルに位置する弓削寺(ゆげてら)(岐阜県揖斐郡池田町)は817年、天台宗の開祖・最澄が開いたとされる古刹(こさつ)で、旧名は「湯華寺(ゆげてら)」。温泉にまつわる言い伝えが残り、古来から"湯の湧く寺"として知られてきた。

 言い伝えでは、日吉神社(安八郡神戸町)を訪れた最澄が池田山(標高924メートル)の上にたなびく紫雲を見て不思議に思い訪れてみると、山頂近くで温泉が湧いており、湯つぼを錫杖(しゃくじょう)でかき回すと小さな馬頭観音が現れた。その馬頭観音をまつるために湯つぼの近くにお堂を建て、湯華寺と名付けた。

 その後の1085年、谷汲山華厳寺に参拝に訪れた白河法皇が病になり、同寺の温泉で湯治したところ完治。お礼にと法皇が木を削り弓を作って奉納、寺の名を「弓削寺」とした。温泉はやがて枯れてしまうが、今も湯つぼ跡が残る。

 現在の弓削寺は臨済宗の禅寺。約300年前に本堂を移転した。馬頭観音を本尊とすることから、馬に関係する人たちにも信仰され、昭和30年代までは農耕馬を集めて草競馬を行っていたそうだ。

 本堂内には、鳥や花を描いた「天井絵」や江戸時代の高名な彫り師による「十六羅漢の欄間彫刻」などの文化財が多数あり、現在は「往生要集」を描いた江戸時代の「地獄極楽絵図」12幅も公開中。「12幅すべてを一堂に公開するのは50年ぶり。絵や彫刻も300年前のまま。退色が少ないのは赤色はルビー、青色も当時貴重だった特殊な絵の具で塗られているからだと聞いています」と現住職澤田恒雄さんの妻、まさゑさん。

 同寺では十数年前に寺内で温泉掘削に成功、6年前には源泉掛け流しの展望露天風呂と食事処(どころ)を併設した日帰り入浴施設「湯元 湯華の郷」をオープン、精進山菜料理と湯量豊富でぬめりのある「ナトリウム-炭酸水素塩泉」が楽しめると人気を集めている。

 「寺の由来から温泉採掘は先代からの夢。その夢を受け継いだ父が近隣の人と共同で掘削、地下1300メートルで温泉を掘り当てました」と、住職の長女で同施設の女将(おかみ)を務める由美子さん。展望露天風呂からは濃尾平野が眼下に一望できる。これからの時期は紅葉も楽しめそうだ。

【案内】住所=揖斐郡池田町段721。温泉施設の営業時間=入浴は午前10時~午後10時。食事は午前11時~午後9時。第2火曜休み。入浴料=中学生以上800円、小学生以下500円。弓削寺は拝観無料。問い合わせ=電話0585(45)3804。


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