御嶽山、爪痕今も 噴火5年登山ルポ

2019年09月28日 07:08

  • 噴火した時刻に合わせ、山頂で黙とうをささげる入山者たち=27日午前11時52分、長野県木曽町 
  • 噴火から5年を迎えた御嶽山の山頂付近で、慰霊碑に手を合わせる入山者=27日午前11時44分、長野県木曽町 

 御嶽山噴火から5年の月日が流れた27日、長野県木曽町のロープウエー乗り場には始発から約30人の登山客が集まっていた。「8合目辺りの紅葉は三分ほどの色づき」とのアナウンスを聞きゴンドラに乗り込んだ。

 降り場は標高2150メートルの地点。ここから本格的な山登りが始まる。登山客に交じり実際に歩いてみた。御嶽山登山は初めてだ。途中、9合目の石室山荘で隣り合った男性(66)と妻(56)=愛知県刈谷市=から話を聞いた。噴火に見舞われた日以来の御嶽山登山だという。「全身に火山灰を浴びながら下山した。命の危険を感じ、電話で息子に『もう帰れないかもしれない』と伝えた」と振り返った。

 道中で配られていたチラシには、噴火に遭遇した際の対応方法や火山に登る時の必需品が示され、活火山を登る人への細やかな配慮がうかがえた。ようやくたどり着いた山頂に至る石階段や脇にあった灯籠は、噴石によって割れたり、傾いたりしたままで、今も当時の状況を痛々しく伝えている。

 山頂にも噴火に遭遇した人がいた。当時山頂下で昼ご飯を食べようとしていた会社員の男性(46)=中津川市=は「突然、地響きがし、真っ白い煙が立ち上った。爆発音が響き渡り、急いで逃げ出した」と恐怖を語る。噴煙で何も見えない中、登山道脇のロープを頼りに下った。御嶽山は20回以上登る「大好きな山」。節目に来たのは、自分の行動を振り返り、亡くなった人を悼むためだという。

 噴火発生時刻の午前11時52分、犠牲者の半数以上がいたという剣ケ峰(3067メートル)に集まった登山客は黙とうをささげた。合図の鐘を鳴らしたのは火山マイスターの高橋俊吾さん(41)=長野県南木曽町=。「人間にはどうすることもできない災害だが、一人一人が活火山であることを意識し、登山することが大事」と目を潤ませ訴えた。

 御嶽山は当時の写真や映像で見たような噴火の痕跡は少なくなっているように感じた。しかし、実際に災害に遭った人の声を聞き、火山災害の恐ろしさを垣間見たように思う。


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