県内9病院困惑 厚労省「再編必要」、住民憤り

2019年09月30日 07:56

再編、統合の議論が必要として厚労省が公表した県内9病院の一つ、市立恵那病院=恵那市大井町

再編、統合の議論が必要として厚労省が公表した県内9病院の一つ、市立恵那病院=恵那市大井町

 厚生労働省が、公立病院や日赤などの公的病院のうち再編や統合の議論が必要と判断した病院に岐阜県内の9施設が挙がった。医療機関や住民からは、地域の事情を考慮していないなどとの反発や困惑が広がっている。

 恵那市の市立恵那病院は、市が総事業費70億円をかけて2016年11月にリニューアルしたばかり。1年後には前市長の悲願だった産婦人科を10年半ぶりに復活させた。今年3月までに計256件の出産が行われ、19年度も当初想定した月に平均20件弱を受け入れる。「産み育てやすい街」を目指しているだけに小坂喬峰市長は「地域医療の確保に努力している中で、突然の発表に驚いている。詳細な情報を得てから対応を考えたい」と述べた。

 飛騨市民病院のある同市神岡町は住民の2人に1人が高齢者だ。住民が運営を支援しようと12年に「飛騨市民病院を守る会」を発足させ、入院患者に食事を提供するボランティアを実施、研修医の定着を狙った住民との懇談会などを開く。針田俊一会長は「車を運転しない高齢者は遠くの病院に通えない。国は地方を全く分かっていない」と憤り、黒木嘉人院長は「発表は全国の過疎地域に混乱を広げかねない」と批判した。

 一方、土岐市立総合病院と統合協議中の東濃厚生病院(瑞浪市)は「想定の範囲内」と冷静に受け止めた。

 東濃厚生病院を運営するJA岐阜厚生連と瑞浪市、土岐市立総合病院を運営する土岐市は17年9月から協議を始めた。統合後の経営主体や新病院の建設地を巡って平行線をたどっているが、東濃厚生病院の可児道宏事務局長は「地域医療を引き続き提供するため、協議を粛々と進めたい」とし、着地点を見いだす努力を続けると強調した。同厚生連は西美濃厚生病院(養老郡養老町)と揖斐厚生病院(揖斐郡揖斐川町)の再編計画も進めており、厚生連の矢島昌夫総務課長は「県が開く地域医療構想調整会議で議論を重ねており、今後もしっかりと話し合いたい」と述べた。同郡大野町内に両病院を統合した新病院を開設する方針だが、養老町、揖斐川町の現病院にも医療機能は残す。

 中津川市は4月、国保坂下病院を有床診療所化し、急性期病床などを市民病院に集約した。青山節児市長は「厚労省の公表は17年度時点の診療実績を基に分析している。市として既に取り組んでいる」とコメントを発表した。

 県医療整備課は「再編や統合は病院の判断を尊重する。今後の対応を検討したい」としている。


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