避難率、飛騨市が最高 西日本豪雨災害

2019年10月07日 08:42

区よりも小さな「部」「班」まで明記され、避難情報に役立てられた地図=飛騨市役所

区よりも小さな「部」「班」まで明記され、避難情報に役立てられた地図=飛騨市役所

 昨年7月、岐阜県内全域に大きな爪痕を残した西日本豪雨災害。県内で住民の避難率が最も高かった飛騨市では、危険性の高い地域を絞り込んで避難勧告・指示を出すことで、住民の当事者意識を高め、実際の避難行動に結び付けていた。県の災害検証委員会が先月末、同市役所で報告した。

 西日本豪雨災害では、県内32の観測地点の半数で72時間雨量が観測史上最多を記録し、各地で土砂災害や河川の氾濫を招いた。1人が死亡、3人が重軽傷を負い、多くの家屋が浸水被害に遭った。

 検証で問題視されたのが住民の避難率の低さだ。県内23市町村で延べ約42万人に避難情報(避難準備・高齢者等避難開始、避難勧告、避難指示)が出されたが、指定避難所への避難者はわずか2・3%。その中で、飛騨市は県内で最も高い13・15%に上り、次点の関市より7・93ポイントも高かった。

 検証委員会の高木朗義岐阜大工学部教授らは、飛騨市内で避難情報が出た1020世帯や区長らを対象に調査。先月末に市民向けの防災講座で報告した。

 報告によると、市内で特に避難率が高かった地域では、日ごろから「区」より狭い「部」や「班」で行事に臨む習慣が根付き、1軒1軒がどこに所属するかを明記した地図があった。そのため、市は災害当時、古川町杉崎地区で太江川に氾濫の恐れがあったため、消防団員が撮影した写真をもとに危険性の高い地域を絞り、同地区の1、3、4部に限って避難勧告を出すことができた。

 避難情報をより狭い地域に限定することで、住民は危険性を身近に感じ、具体的な避難行動につながった可能性が高いという。消防団や警察が短時間で対象地域を1軒ずつ回り、避難を促すこともできた。高木教授は「公民館の雪下ろしなど地域の行事を部や班で分担して行う習慣が、避難行動に生きた」と分析する。

 災害後、飛騨市は部や班のエリアを明示した地図を市内全域で作成し、災害への備えを強化した。坂田治民危機管理監は「自分がどの部、班なのかを確認し、普段から近所との連絡を密にしてほしい」と話した。


カテゴリ: 社会