飛騨市出身の不自由展出品作家「自由な議論が芸術の役割」

2019年10月09日 08:08

 8日に展示が再開された「表現の不自由展・その後」の出品者で、岐阜県飛騨市古川町出身の造形作家中垣克久さん(75)。相模原市のアトリエで制作中のためこの日来場できなかったが、再開を受け「ほっとしたが、両手を上げて喜べない」と複雑な心境を明かした。特に、展示内容に立ち入った政治家の発言が相次いだことを問題視する。

 「税金を使った公の場での芸術祭だからこそ、金は出しても口は出さないが大前提ではないか。政治家自ら、憲法21条の表現の自由を侵す行為をした」と、憤りは今も消えない。先月末には、実行委員会が展示再開に向けた協議を進めるさなか、文化庁は手続きに不備があったとして、内定していた補助金の不交付を決めた。「政治が文化、芸術にも介入し、意にそぐわないものは排除した」と批判する。

 中垣さんの作品は、かまくら型の外壁に憲法9条尊重、安倍政権の右傾化への警鐘などの言葉を掲げる。「脱亜入欧」という明治以降の風潮の中に今も日本があるとし、「多様性に対応できない日本人の劣化した感性を表した」とする。再開後も抗議が続くことが懸念されるが、どんなに批判されようとも作品を見てほしいという。「純粋な芸術であって、自分の表現を押しつけているのではない。見た人が好き、嫌いと自由に話し合える場をつくるのが芸術の役割。それを守るのが民主主義」と訴えた。


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