南米・アンデス地方発祥の縦笛 ケーナの魅力伝えたい

2019年10月13日 08:47

「ケーナは表現に奥行きがある」と独特な音色を響かせる山中徹志さん=関市下有知、ケーナ工房

「ケーナは表現に奥行きがある」と独特な音色を響かせる山中徹志さん=関市下有知、ケーナ工房

 南米・アンデス地方発祥の縦笛「ケーナ」を手作りする、日本に数人しかいないとされる職人が岐阜県美濃市にいる。見渡す限りの畑の中にぽつんと建つ工房で、黙々と作業に打ち込む山中徹志さん(68)=同市志摩=。「国内、特に県内ではマイナーな楽器。演奏に触れる機会を通じて多くの人に魅力を知ってもらいたい」と語る。

 ケーナとの出会いは2015年、勘違いがきっかけだった。長野県白馬村の白馬五竜高山植物園を訪れた際、植物写真家でリコーダー奏者のいがりまさしさんの演奏に一目ぼれ。「あんな音色を出せる楽器を作りたい」と思い立ち、楽器の名前を自分で調べたが、リコーダーをケーナだと誤解。水戸市でケーナの制作・販売に取り組む中崎恵幸さんからケーナを購入した。以来、中崎さんを師匠と慕い、その音色を基準に制作している。

 もともと木工業を営んでおり、木材加工の腕には覚えがあったが「いくら加工技術があっても、感性がなければ良い音を出せる楽器は作れない」と語る。10本作っても商品として世に出せるのは半数がやっと。商品にならなかったケーナは、フリーマーケットなどに出店した際、「持って『ケーナ』」と銘打ち、音を出せた人に無料で配って普及に活用している。

 今年4月からは自宅近くの周囲を畑に囲まれた場所に「ケーナ工房」と名付けた工房を手造り。音色を確認しながら微調整を繰り返し、仕上げの作業をしている。メインの木製ケーナの制作には1本当たり1週間を要するという。「ここならどれだけ吹いても近所迷惑にならない」とほほ笑む。

 「リコーダーのように見えるが、ドレミの音階に縛られない細やかな音を出すことができる。表現に奥行きがあるのが魅力」と山中さん。国内でも根強い人気があり、福島県川俣町で毎年3日間にわたり開催される中南米の民族音楽「フォルクローレ」の祭典では、ケーナの演奏が連日響くという。

 山中さんは11月17日午後1時ごろから、美濃市生櫛の市中有知地域ふれあいセンターで開かれる中有知文化祭のステージで生演奏を披露する。「まずは地元の演奏会を満員にするところから」と、県内での普及に向けて着実に歩みを続ける。


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