「地域医療の役割無視」と撤回求める 病院再編・公表問題

2019年10月19日 08:12

入院患者の食事を無償で介助する「飛騨市民病院を守る会」のメンバー=飛騨市神岡町東町、飛騨市民病院(同会提供)

入院患者の食事を無償で介助する「飛騨市民病院を守る会」のメンバー=飛騨市神岡町東町、飛騨市民病院(同会提供)

 厚生労働省が公的病院のうち再編・統合の議論が必要と判断した病院に岐阜県内の9施設が挙がった。このうち多治見市民病院に関しては古川雅典市長らが強く反発し、同省に対して公開質問状を送ったが、その他の公立病院を開設する自治体の市長らからも「数字上だけの議論」などと憤りや疑問の声が上がっている。

 飛騨市民病院では、病院運営を無償で支えてきた住民らに落胆の声が広がっており、市側も撤回への呼び掛けを始めた。都竹淳也市長は「山間地の公的医療機関の役割を無視した議論だ。元データの信ぴょう性もない。混乱が広がるのは当然のことで極めて遺憾だ」と批判し、県を通じて公表の撤回を求めるとした。

 「飛騨市民病院を守る会」の会員3人は週に2回同院を訪れ、療養病棟の患者に付きっきりで食事を介助している。スプーンで1回ずつ口に運ぶため1、2人しか介助できないが、患者の待ち時間は大きく改善された。堀辺明子さん(同市神岡町江馬町)は「自分にも手伝えることを考えて始めた。国には机の上だけで判断してほしくない」と訴えた。

 郡上市が運営する国保白鳥病院は、へき地診療所広域連携組織「県北西部地域医療センター」の基幹病院だ。日置敏明市長は「地域で意義ある役割を果たしている。実情を把握した上での判断なのか」と疑問を呈す。

 同センターは、郡上市、大野郡白川村、高山市荘川町の診療所と同病院が患者の受け入れや医師の不在時にサポートし合う仕組みとして2015年に創設された。自治体を超えた広域連携はへき地医療のモデルとして全国的にも注目されている。日置市長は「国の問題提起に対し、統廃合ではなく市内の各医療機関が特色ある役割分担をすることで解決していきたい」と今後の医療の在り方を探る。

 羽島市民病院も独自性を模索する。以前から市内外の開業医との症例検討会を開くなどして開業医と連携を強化。その結果、開業医から紹介を受けた患者の入院が増えているという。入院して回復後もリハビリが必要な高齢者の患者を対象にした地域包括ケア病床を増やすなどサービス向上にも努めており、18年度は経常収支比率が100・5パーセントと、10年以上ぶりに決算収支が黒字に転じた。

 松井聡市長は「岐阜市周辺は数多く病院があり、近隣施設とのすみ分けが必要。地域の医療ニーズに合った診療科体制の検証を進めていきたい」と話した。


カテゴリ: 社会