風味豊かな酒安定生産「トリプル発酵」特許取得

2019年10月31日 07:56

  • 新製法の「トリプル発酵製法」を開発した林本店の酒蔵=30日午後、各務原市那加新加納、同社 
  • 新製法で特許を取得した林本店の林里榮子社長=同 

 岐阜県各務原市那加新加納町の日本酒醸造元「林本店」は、新たな日本酒の製造方法「トリプル発酵製法」の開発に成功した。現在ほとんどの酒蔵が採用する製法とは大きく異なり、酒のうま味に影響する乳酸を、乳酸菌の計画的な投入によって発生させるのが特徴。自然由来の昔ながらの製法に近いものの、発酵が効率的に進行、短期間に安定した品質で製造できるようになり、今月特許を取得した。来月6日には新製法で第1弾となる商品を発売する。

 同社によると、伝統的な酒造りでは、自然界から入り込んだ乳酸菌で乳酸を発生させるため酒のうま味に個性が出る半面、不安定で製造には仕込みから約4週間を要し、生産は安定しなかった。現在は明治時代に開発された醸造用の乳酸を添加する手法が一般的。約2週間で製造でき安定供給が可能だが、うま味や風味に以前ほど個性が出なくなったという。

 トリプル発酵製法は、秋田県総合食品研究センターが開発した白神山地由来の乳酸菌を使用し、糖化とアルコール発酵、乳酸発酵がほぼ同時に進む。自然界から菌が入り込まない現代の衛生的な管理下でも無添加醸造が可能になり、製造期間を約2週間に抑えることもできた。開発に当たった佐藤俊二製造本部長は「消費者の添加物への認識は以前より厳しい。乳酸の添加に頼らず、かつての製法を現代に合わせて確立したかった」と狙いを語る。

 第1弾の商品名は「百十郎 白炎(びゃくえん)」。新酒では珍しいなめらかで軽い口当たりと深い味わいが特徴。今後、さまざまな乳酸菌を利用することで多様な味わいを表現できるようになるといい、林里榮子社長は「他の商品でも新製法を取り入れていきたい」と話している。


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