培った分析力、次代へ 県警科捜研初の技能指導官 

2019年11月05日 08:25

若手研究員を指導する技能指導官の竹内繁樹さん(右)。「これまで学んできたことを伝えていきたい」と語る=県警本部

若手研究員を指導する技能指導官の竹内繁樹さん(右)。「これまで学んできたことを伝えていきたい」と語る=県警本部

 近年、犯罪の立証において客観証拠の重要性が増す中、岐阜県警では科学捜査に関わる人材の育成に力を入れている。科学捜査研究所で研究員を30年以上務める竹内繁樹さん(57)=羽島郡岐南町=が9月、若手研究員や捜査員らに専門的な知識や技能を伝える「技能指導官」に任命された。県警の科捜研では初の技能指導官で、「学んできた知識や経験を若手にしっかりと伝えたい」と意欲を語る。

 デジタルマイクロスコープを操作する若手研究員の横で、竹内さんが指示を出す。モニターには、マイクロスコープが捉えた火災で真っ黒に焼けた延長コードが映し出されている。注意深く観察していると、ある痕跡を発見。炎の熱以上の超高温で焼けた「スパーク痕」、つまりここが出火元ということになる。焼け残ったわずかな物から出火原因を特定するのは、豊富な知識と長年の経験で培われた洞察力がものをいう。「放火か失火か。事件性の有無を決定付ける重要な仕事」と力を込める。

 岐阜市出身で岐阜大工学部電気工学科を卒業後、関西の電機メーカーを経て1987年4月に科捜研に入った。専門の電気分野の知識と技術を生かし、火災原因の特定をはじめ、交通事故解析、防犯ビデオの画像解析などさまざまな業務に携わる。約15年前には、不正な機器を使ってパチンコの当たりを操作する事件捜査に関わった。「パチンコ台メーカーに何度も通いながら機器が台に与える作用を解明し、犯人検挙につなげることができた」と印象深い事件として振り返る。

 科捜研への転職を後押ししたのは、大学時代の恩師の言葉。「新しいことにトライする大切さを教えていただいた人。当時の科捜研には電気が専門の研究員がおらず、『パイオニアになれ』と激励を受けた」。技能指導官となっても、常に新しい知識や技術を学ぶ姿勢は変わらない。「得意分野以外のことを学ぶのは大変だが、それ以上にやりがいを感じる。今後はデジタル分野にも力を入れていきたい」と情熱は尽きない。


カテゴリ: 社会