白川郷で火災、小屋全焼 世界遺産への延焼なし

2019年11月05日 08:07

  • 煙を上げて燃えるかやぶきの小屋。白川郷の世界遺産エリア一帯は一時騒然となった=4日午後、大野郡白川村荻町、せせらぎ公園駐車場(読者提供) 
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 世界遺産の白川郷合掌造り集落がある岐阜県大野郡白川村荻町で、4日午後2時40分ごろ、「小屋が燃えている」と119番があった。かやぶきの木造の小屋2棟計44平方メートルが全焼し、約1時間50分後に消えた。けが人はいなかった。周囲の合掌造り家屋への延焼はなかったが、現場には煙が立ちこめ、3連休最終日に大勢の観光客でにぎわう世界遺産エリア一帯は一時騒然となった。

 現場は観光客用のせせらぎ公園駐車場で、南側には県重要文化財の合掌造り家屋が多数移築されている野外博物館「合掌造り民家園」がある。合掌造り集落は庄川を挟んで対岸にあるため、建物への被害はなかった。火の粉による延焼を防ぐため、村民が合掌造り集落で放水銃による散水を行った。

 高山署によると、軽トラックや農業肥料などを置く物置として使っていた小屋と配電盤が設置されている小屋が燃えたほか、駐車場に止めてあった乗用車1台が一部焼けた。署などが出火原因を調べている。

◆首里城の直後、衝撃 防火徹底中、観光客騒然

 「こんなことが起きるなんて」「衝撃的だった」。秋の行楽シーズンで大勢の観光客でにぎわう大野郡白川村で発生したかやぶき小屋の火災。世界遺産の白川郷合掌造り集落を持つ村では、先月27日に一斉放水訓練を行い、すぐ後に那覇市の首里城が焼失するニュースが飛び込んできたばかり。村民たちは、ぼうぜんとした様子で当時の状況を語った。

 火災現場の南側にある野外博物館「合掌造り民家園」の東繁代園長(56)は当時現場から約50メートルの建物におり、職員の知らせで火災に気付いた。「火の手がかなり高く上がっていた。こんな近くで」とショックを隠さない。職員が5日朝まで、火が残っていないか警戒に当たる。

 合掌造り集落は現場から離れているが、村民たちが自らの判断で放水銃で散水し延焼を防いだ。民宿を営む鈴口悦子さん(69)はサイレンを聞いて一目散に台所から外へ飛び出した。30年以上前、近所で大火を目の当たりにした経験もあり「音で体が勝手に動いていた。飛んでくる火の粉が怖いから」とずぶ濡れになりながら水を放った。首里城の火災を知り、白川郷でも同じようなことがあったらどうなるかを想像したという。「喪失感は計り知れないだろう。気を付けていても起きるものだから、改めて火の恐ろしさと防火の大切さが身に染みた」と語った。

 村消防団長の小坂秀昭さん(60)は「同じ世界遺産で火事を起こさないように呼び掛けていた矢先だった。最小限に食い止められてよかった」と胸をなで下ろした。

 村は、首里城の火災を受けて1日から朝晩2回、防災行政無線で村内に防火の徹底を呼び掛けていた。村教育委員会の松本継太さん(43)は「呼び掛けを強めていただけに非常に残念。原因究明を急ぎ、改めて防火の周知を徹底したい」と話した。

 【白川郷・五箇山の合掌造り集落】 1995年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された。国内で唯一、人が住んでいる世界遺産で、大野郡白川村荻町地区には家屋や小屋を含め計114棟の合掌造りの建物がある。木造かやぶきの建物は燃えやすいため、集落内には放水銃59基を備え、毎年、建物を火災から守る一斉放水訓練を行っている。


カテゴリ: 社会