「あなたの乳を飲ませて」実は...町の宝、乳くれ地蔵

2019年11月15日 08:43

出産後の女性や地域住民ら多くの人が参拝する「乳くれ地蔵」=池田町八幡

出産後の女性や地域住民ら多くの人が参拝する「乳くれ地蔵」=池田町八幡

 岐阜県揖斐郡池田町八幡の谷汲巡礼街道沿いに「乳くれ地蔵」と呼ばれ、地域住民から長年親しまれている地蔵がある。「お乳の出が良くなる」という言い伝えがあり、出産後や、母乳が出なくて困っている女性が参拝に訪れる町の名所となっている。

 町によると1823年、伊予国氷見村(現愛媛県西条市氷見)から地蔵尊建立の願いを抱き、病に倒れた巡礼者の宥峯(ゆうほう)が、自分の願いを託せる慈悲のある人を見つけようと、あえて「どうかあなたの乳を飲ませてください」と道行く人に懇願した。

 多くの人が気味悪がって要望を聞き入れない中、ただ一人応えようとしたのは八幡村の庄屋、竹中与惣治保常(よそうじやすつね)の妻みねだったという。宥峯は、みねなら信頼できると思い、地蔵尊建立のためにためていた金を託した。宥峯の願いを託されたみねが、六地蔵と道標を建立したと言われている。乳くれ地蔵と呼ばれるようになり、町史跡に指定されている。

 町教育委員会社会教育課の課長(54)は「これほど慈悲深い人がいたということは町にとっても誇り。地域のお地蔵さんの歴史に目を向けてみてほしい」と話した。乳くれ地蔵の近くに住む男性(83)は「地域の宝。困った人を助けてくれるお地蔵さんとして町内中の人に知れ渡ってほしい」と語り掛けた。


カテゴリ: くらし・文化