「じゃがいも」児童書に 災害救助犬試験の軌跡紹介

2019年11月16日 09:10

執筆した児童書を手にする山口常夫さんと上村智恵子さん。中央がじゃがいも=岐阜市日野南

執筆した児童書を手にする山口常夫さんと上村智恵子さん。中央がじゃがいも=岐阜市日野南

 2011年の福島第1原発事故後に福島県飯舘村で生まれた雑種犬「じゃがいも」(雄、8歳)の、11回目で災害救助犬試験に合格した挑戦の記録が児童書になった。執筆したのは、飼育する岐阜市のNPO法人「日本動物介護センター」理事長の山口常夫さん(68)で、「諦めない心の大切さを感じ取って」と訴える。

 題名は「災害救助犬じゃがいも11回の挑戦」(岩崎書店刊)。既刊の「被災犬『じゃがいも』の挑戦」を出した14年当時はまだ4回目の試験に落ちた頃で、17年の合格までの軌跡を含め新たに書き下ろした。

 同NPOは、東日本大震災と続く原発事故で行き場をなくした犬をピーク時で48頭預かった。事故から3カ月後に生まれた「じゃがいも」もそのうちの1頭で、避難先に連れていけない飼い主から引き取った。

 救助犬への育成は、山口さんが「災害時に役立つ犬に育てることができれば、被災地の希望になるのでは」と考えたため。同書では、訓練士の上村智恵子さんと共に粘り強く重ねた訓練、一歩ずつ自信をつけて試験合格を果たしたじゃがいもの成長ぶり、さらに飯舘村のPR役「わんダフルまでい大使」就任を果たすまでを144ページに描いた。

 被災地での救助実績はまだないが、今年9月には山梨県で不明女児の捜索に当たった。各地の防災訓練で救助を実演し、防災啓発にも一役買っている。

 原発事故から8年半。山口さんの元には、被災地で保護した放浪犬を含め、なお7頭が残る。新たに16年の熊本地震で預かった6頭も。「次々と起こる台風や地震で大変な思いをしている人々とともに、苦労している犬もいる。じゃがいもの姿を通して、子どもたちに伝わるものがあるのでは」と話している。

 発売は今月19日で、収益は活動資金に充てる。価格は1300円(税別)。24日午前11時から岐阜市日ノ出町の劇場通りわくわく広場で、自由書房での購入者を対象にした記念撮影会と足形の色紙配布がある。午後3時まで。


カテゴリ: くらし・文化