県防災ヘリ運航できず 整備士パワハラで懲戒処分

2019年11月30日 07:52

県防災ヘリの「若鮎Ⅲ」

県防災ヘリの「若鮎Ⅲ」

 岐阜県県は29日、消火や救助、搬送活動を担う防災ヘリ「若鮎Ⅲ」の自主運航を10月1日から停止していることを明らかにした。県防災航空センターの同機を実質的に1人で整備していた男性整備士(48)が部下の20代の男性整備士に行ったパワハラを調査するため、見合わせていた。29日付で停職1カ月の懲戒処分を受けた整備士は12月末で退職する意向を示しており、同機の運航を再開する見通しは立っていない。

 県によると、整備士は2015年4月から17年7月までの間に指導の一環として、少なくとも7回にわたって部下の頭をたたいたり、足を蹴ったりしたほか、「なめ腐ってんじゃねえぞ」などと暴言を吐いた。部下は18年12月に精神疾患で休職した際に県人事課に被害を訴え、今年4月に復帰したが、「陰で悪口を言われる」と9月に再び被害を伝えた。部下は16年4月以降、センター長らに複数回相談し、センター側は整備士を指導したが、同課に報告していなかった。当時のセンター長ら4人を文書による厳重注意とした。

 センターは若鮎Ⅲと民間に運航委託している「若鮎Ⅰ」の2機を運用している。県警と若鮎Ⅲを共同利用しているが、機体に問題はなく、県警は継続して使用する。県警の飛行時には県警所属の整備士が機体を点検しているが、県は「指揮命令系統が違うため、県警の整備士に替わってもらうことはできない」とし、「県警や応援協定を結ぶ他県の支援を受けられることから県の運用に支障はない」と説明している。今後、若鮎Ⅲの整備士を確保する方針。

 若鮎Ⅲは、2009年に高山市の北アルプスで救助活動中に墜落した「若鮎Ⅱ」の後継機として11年11月に運航を開始した。

 また、若鮎Ⅲに備え付けられ、救助時に人をつり上げる「ホイスト」と呼ばれる装置について、処分を受けた整備士が製造メーカーの求める頻度での点検を行っていなかったことも判明した。

 県によると、点検は1カ月ごとか3時間の使用などを基準に必要だが、同整備士は1カ月の基準を70日間過ぎてから点検したことがあった。また、同整備士がガソリンや灯油などの消防法に定められた危険物約1200リットルを原則認められていないヘリの格納庫に保管していたことも発覚した。センターが今月28日までに全て撤去した。


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