美濃和紙素材で洋服に 難度高いレース加工

2019年12月03日 09:37

完成した試作品を手に笑顔を見せる村井星等さん=美濃市役所

完成した試作品を手に笑顔を見せる村井星等さん=美濃市役所

 セミオーダーバッグの製作、販売を手掛ける「アッシュパイ」(岐阜県美濃市極楽寺)の代表村井星等(せいら)さん(37)が、美濃和紙の紙糸を素材に使ったレースの洋服の商品化に挑んでいる。「美濃和紙の魅力を国内外に発信したい」と意気込み、2020年秋ごろからの試験販売を目指す。

 美濃和紙を身近に感じながら育った村井さんは、金融機関勤務を経て美濃和紙ブランドの確立を推進する美濃和紙ブランド協同組合の仕事に就いた。和紙職人の下で作業工程や歴史を学ぶなかで、職人の「紙の需要は減り、後継者も不足している。自分たちは紙をすくことはできるが、魅力を広めるのは難しい」との言葉が心に響いた。

 村井さんは20代から「将来はものづくりがしたい」と漠然と思っていた。学生時代の海外留学や海外でのビジネス研修を通じて外国人から美濃和紙を褒められたことがあった。ハッパを掛けられた気持ちになり、「美濃和紙を新しい形でPRして、地元が誇る産業に貢献したい」と、12年にアッシュパイを創業した。

 同社は女性向けトートバッグを中心に展開しており、洋服の開発は初めて。5月から構想を練り、自身が好む透明感のある服にちなみレース素材に着目した。紙糸は機械すき和紙メーカー大福製紙(同市前野)に製造を委託。難易度の高いレース加工は関西の業者にたどり着き、レースの中でも最も繊細といわれるリバーレースに仕上がった。

 10月には7、8割を紙糸で、残りをナイロン製の糸で編み上げた試作品が完成した。軽さや吸湿性、脱臭効果など機能面も充実。既にアパレル関係企業も回り、商品化に向けての手応えをつかんだ。商品化には製造ルートとの調整などの課題が残るが、「3年以内に年間200着の販売を目指す」と、目標に自信をにじませる。

 アパレル業界では大量生産と大量廃棄を改める動きがある中、村井さんは「美濃和紙はエコな天然素材。人肌にも優しく時代に合っている」とし、かばんなど小物へのリメークも想定。「まずは洋服を契機に美濃和紙を広く知ってもらうこと。その後は今後必要とされるビジネスモデルも展開したい」と先を見据える。


カテゴリ: くらし・文化 経済