冬の低山登山を安全に 中高年「低体温症」に注意

2019年12月04日 08:49

岐阜市の最高峰・百々ケ峰の山頂からは市周辺の町並みが展望できる。登山道が整備されて歩きやすく、日帰り登山を楽しむ中高年ハイカーも多い=岐阜市長良、三田洞境の百々ケ峰展望台

岐阜市の最高峰・百々ケ峰の山頂からは市周辺の町並みが展望できる。登山道が整備されて歩きやすく、日帰り登山を楽しむ中高年ハイカーも多い=岐阜市長良、三田洞境の百々ケ峰展望台

 空気が澄んで見晴らしが良く、汗をかきにくい冬の低山を楽しむ人が増えている。岐阜市の最高峰・百々ケ峰(417・9メートル)など、積雪が少ない標高千メートル以下の低山は日帰り登山の人気スポット。初日の出を拝もうと、今から登山の計画を立てている人もいるはず。中高年が健康的に冬の低山を楽しむには、何に気を付けたらいいのだろうか。県医師会山岳JMAT隊員の加藤義弘医師(56)=可児市・ローズベルクリニック=に聞いた。

 加藤医師は、登山歴約30年。飛騨山脈奧穂高岳(標高3190メートル)の岐阜大医学部奥穂高診療所での診療経験もある。冬の低山登山で、最も気を付けることとして「低体温症」への注意を呼び掛ける。夏の熱中症と比べてあまり知られていないが、低山でも発症の恐れがあり、急に症状が悪化する特徴を持つ。

 低体温症は、気温の低下などで深部体温(体の内部の温度)が35度以下になると症状が現れる。山の気温は標高が100メートル上がるにつれて、およそ0・6度下がる。山頂付近は地上よりも気温が低いほか、天気も変わりやすい。さらに冬は日没時間が早く、晴れた日は昼夜の寒暖差が大きくなるため、低体温症になるリスクが高まる。

 「体温が低下すると震えが続いた後、筋肉が硬直して突然、歩けなくなる。日差しがあると暖かく感じて油断しやすい。防寒着を一枚余分に持参するぐらいでいい。水筒に温かい飲み物を入れていくと、水分補給と合わせて体温も維持できる」と加藤医師。特に、下山途中の日没には注意が必要といい、「冷えると体が動きにくくなるほか、薄暗く、疲労も重なって転倒などにつながりやすい。高齢になるほどバランス感覚の低下も影響する。両手は使える状態にしておくか、ストックを持って」と話す。

 12月は、午後5時前には日没を迎える。明るいうちに下山しようと、歩くペースを上げがちだが、加藤医師は「会話を楽しみながら歩けるペースが適切」とする。「急ぐと疲労で必ず動けなくなる。複数人で登る時は、体力のない人にペースを合わせること。メンバーは遠慮なく言い合える間柄がいい。それを踏まえてゆとりのある登山計画を。万が一のため、ヘッドライトもあるといい」

 高血圧などの持病がある人は、かかりつけ医に相談した上での登山を勧める。会話を楽しみながらのペースならリスクは低いが、苦しいと感じるペースで歩くと心拍数や血圧が上がり、心筋梗塞などを起こしやすくなる。同世代であっても、年を重ねるごとに個々の体力に差が出てくるため、日ごろから意識的に階段を使って上り下りするなど、体力づくりを心掛けておくことも、健康的に登山を楽しむ秘けつという。

 危険もある登山やハイキングだが「山に登るために健康を管理し、体力をつける。健康増進のきっかけとしては非常にいい活動」と加藤医師は勧める。

◆昨年の県内山岳遭難50代以上の12人死亡

 県によると、県内で昨年発生した山岳遭難件数・人数は61件・65人。内訳は死亡12人、行方不明2人、重傷13人、軽傷13人。中高年がほとんどで、40代9人、50代15人、60代15人、70代17人、80代以上4人。死亡の12人は全員が50代以上だった。原因は、滑落・転落と発病・疲労がそれぞれ16人、転倒14人。単独登山者が半数以上を占めた。


カテゴリ: くらし・文化 医療