トイピアノ、街に音楽の力 カフェにふらり、思いのまま演奏

2019年12月04日 08:00

コンサートに来場したお客さんの前でトイピアノを演奏する宇野正志さん=岐阜市松屋町、喫茶左岸

コンサートに来場したお客さんの前でトイピアノを演奏する宇野正志さん=岐阜市松屋町、喫茶左岸

 トイピアノにハット、ちょうネクタイがトレードマーク-。ピアノで音楽の魅力を伝えるピアノパフォーマー「ウーーノ」こと宇野正志さん=岐阜市=の「よりみち」活動が今年、10年目を迎えた。「よりみち」は町やカフェにふらりと出掛け、思いのまま演奏するスタイル。弾く側も聞く側も気軽に楽しめるクラシック音楽に取り組み、「音楽には人を引きつける力があると改めて実感した」と話す。

 「暗い作品だが、その中でも光が差し込む部分がある」。11月末に喫茶左岸(岐阜市松屋町)で開かれたよりみちコンサート。ショパンの「ノクターン遺作」演奏前に聞き方のポイントを伝えて演奏すると、集まった女性らは静かに聴き入った。コンサートでは「本日のメニュー」と題した曲目の紙が配られ、来場者のリクエストなどを交えて曲目を決める。宇野さんは「一言聞くポイントを伝えると聞き方の幅が広がる」と話す。

 音楽を始めたのは幼稚園の頃。キーボードで園の先生の手まねをしたのが最初だった。観察好きで探究心旺盛な宇野さんは音楽の奥深さに目覚め、岐阜高校を卒業後、東京音楽大に進学し、クラシック音楽を学んだ。10年ほど前、実家の一角にスタジオを構え、拠点を岐阜に移した。

 岐阜に戻り、学校での演奏会。体育館のがやがやした中で弾き、観客との距離の遠さにショックを受けた。当時、自身がクラシック音楽の既成概念に縛られすぎだとも感じていた。「喫茶店、歩くこと、音楽-自分の好きなものを組み合わせてみたら面白いかも」。現在の「動けるピアニスト」のスタイルができた。

 よりみちは2009年の「ぎふ信長まつり」から始まり、その後、県内42市町村を巡り、17年には47都道府県全てで演奏。トイピアノを持って出掛けると自然と人が集まり、会話が生まれ、演奏でさらに距離が縮まった。会員制交流サイト(SNS)を使って出掛ける場所、行った場所の情報を発信し、さまざまな人との縁をつないできた。

 アレンジ曲は300曲に上る。最近は子どもたちに人気の「パプリカ」など流行曲も手掛ける。「大きいことをするのではなく、身一つ、小さいことでも楽しめる。トイピアノが音楽を楽しむ入り口になれば」と宇野さん。「今後は『よりみち』で撮りためた写真とクラシック音楽をコラボレーションできないか」と新たな構想も練っている。


カテゴリ: くらし・文化