迫る教員大量退職、人材発掘積極化

2019年12月14日 07:26

  • 県内の特色ある学校を訪問し、授業を見学する県外の教員志望学生ら=11月29日、羽島市桑原町八神、桑原学園 
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 教員の大量退職を控え、岐阜県教育委員会が採用活動を積極化させている。来年度の県教員採用数は過去30年間で最多となる見込みで、今後数年は採用数が増える予測。一方、採用試験の受験者は減少傾向にあり、県外の教員志望学生向けに説明会を開いたり、50代にまで受験資格の年齢拡大を進めたりと、より優れた人材の確保に動いている。

 大量退職が見込まれるのは、第2次ベビーブーム世代(1971~74年生まれ)を教えるために大量に雇用された世代が順次定年を迎えるため。教員採用試験の競争率は99年度の20・2倍をピークにおおむね下落傾向にあり、近年は4・3倍前後で推移。今夏の試験は過去30年間で最多の693人の定員に対し受験は2310人どまりで、3・3倍。特に小学校は2・1倍で、全国平均2・8倍を下回った。県教委の担当者は「働き方改革が求められる仕事のイメージに加え、売り手市場で企業への就職に流れている」と分析する。一般には競争率が3倍を切ると優秀な人材だけで採用定員を満たすのが困難だと言われており、教育関係者からは教員の質の低下を憂慮する声も聞かれる。

 地元の岐阜大キャリアセンター就職支援室によると、同大教育学部卒業生の4割が一般企業などへ就職(17年3月末調べ)。教育学部生が受験予備軍として期待できなくなっている。

 県教委が先月29日に実施した、県外の教員志望学生を対象にした小中学校見学のバスツアー。兵庫、大阪など6府県からの約50人が羽島市内の小中一貫の義務教育学校や海津市の中学校で授業を見学、特色ある学校運営に理解を深め、岐阜県の教員となるイメージを膨らませた。兵庫県の甲南大4年の男子学生(21)は「こうした機会があると、県外大学生でも歓迎されていると感じ、出願を考えることができる」と話した。

 ツアーは2013年から毎年実施。交通アクセスが良い名古屋駅発着の日程とし、Iターン希望の学生に参加しやすくするなど工夫を重ねる。今年は理工学部、経済学部などの学生が多く、年々、参加県や学部の広がりを見せている。ツアーを企画する県教委教職員課は「岐阜の学校で働く良さ、暮らしやすい岐阜をアピールし、受験者数に反映させたい」と意気込む。

 県教委は長年の講師経験で、指導力が備わっているベテラン勢の獲得にも乗り出している。09年から、志願資格を40歳以下から45歳以下に改めた。14年には59歳以下に緩和し、年齢制限を事実上撤廃。対象年齢の引き上げで、15年度採用の志願者は前年度比164人増の2695人となり、「一定の効果があった」(教職員課)と見ている。年齢制限撤廃について、西濃地区の中学校で音楽を指導する茨城県出身の男性講師(50)は「茨城は45歳以下という条件があり、正規採用はない。岐阜でなら、と意欲が高まり、講師を続ける目標ができた」と受け止める。

 積極採用の動きが情熱ある人材の開拓につながり、受験者増加や教員の質向上という効果をもたらすかが注目される。


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