郡上藩主の宝「架鷹図押絵貼屛風」子孫に返還

2019年12月22日 07:53

郡上市の民家に残されていた「架鷹図押絵貼屏風」=郡上市内

郡上市の民家に残されていた「架鷹図押絵貼屏風」=郡上市内

 江戸時代に郡上藩主が所有していたとみられ、岐阜県郡上市の民家に残されていたタカのびょうぶ「架鷹図押絵貼屛風(かようずおしえばりびょうぶ)」が、所有者から最後の郡上藩主青山幸宜(ゆきよし)の子孫に当たる東京都の青山家に寄贈されていたことが分かった。幸宜の孫、青山幸文さん(71)=東京都=は「郡上藩青山家に縁があるびょうぶが令和の時代になって世に現れたことは感慨深い」と歴史に思いをはせる。作者や描かれた年代について詳細は不明で、今後専門家による調査を経て、同市に寄贈される見込み。

 びょうぶは六曲一双の半双で、縦約1・7メートル、横約3・7メートル。6枚の扇ごとに異なる6種類の絵を貼り付けた押絵貼で、各扇にはオオタカが赤や緑のひもでつながれ、異なる姿勢で横木に止まっている様子が描かれている。それぞれに詩が添えられており、うち1枚には「南禅 元良」の署名が読み取れる。地域史家で市文化財保護審議会長の高橋教雄さん(74)=郡上市八幡町=によると、詩の作者が京都市にある南禅寺の第274世だった最嶽元良だとすれば、江戸初期ごろに制作されたと考えられる。絵の作者の署名はないが、3カ所に落款(らっかん)が残る。

 高橋さんは、ひもの色や木の種類でタカの格を表していると指摘し、「タカは武家の権威の象徴で、タカの絵を飾ることは大名のステータスだった」と語る。郡上藩主では江戸中期の金森頼時がタカの書物やタカ狩りの道具を将軍に献上するなどタカ好きとして知られていたといい、「びょうぶは頼時が手に入れ、藩主が代わるとともに青山家へ所有が移り幕末を迎えたのではないか」と推測する。

 びょうぶを青山家に寄せたのは加藤恵美子さん(79)=郡上市八幡町=。自宅で長く所有しており、亡くなった夫の陽二郎さんから「幕末まで青山家で使われ、明治維新後に市場に出回っていたものを父が古物商から買い取った」と聞いたという。加藤家が25年ほど前に一度修復し、色彩も鮮やかによみがえらせた。貴重な品を後世に残したいと今後の保存先を探す中、今年夏、郡上の有志らでつくる歴史顕彰団体「郡上青山藩葉菊会」を通じてかつての藩主の子孫への"返還"が実現した。

 びょうぶは郡上市内に保管されており、青山さんは「市の歴史財産として一般公開し、広く市民に知ってもらいたい」と活用を願い、市に寄贈する意向を示している。市教育委員会は「作者や年代について来年中にも専門家による調査を行いたい」としている。


カテゴリ: くらし・文化