消防団「協力金」15市町村が実態把握 県内アンケート

2020年01月25日 08:22

火災現場での消火活動のほか、消防操法訓練や地域の夜警も消防団の重要な活動だ(本文と写真は関係ありません、コラージュ)

火災現場での消火活動のほか、消防操法訓練や地域の夜警も消防団の重要な活動だ(本文と写真は関係ありません、コラージュ)

 岐阜新聞社は24日、県内の全42市町村に消防団への「協力金」に関するアンケートを実施した。入団しない男性住民に対して出不足(でぶそく)金の支払いを求めている団の存在について、安八郡安八町が「把握している」と回答した。15市町村が、自治会や住民から協力金を受け取っている団の存在を把握していた。違法性を認める自治体もあり、今後議論を呼びそうだ。

 出不足金について、安八町総務課の担当者は「求めている自治会もあると聞いているが、詳細は把握していない」と答えた。各務原市、高山市は調査中、揖斐郡池田町は「あれば不適切なので調査したい」とした。

 「協力金」などと呼ばれる自治会や住民からの寄付金について、存在を把握していると回答したのは、大垣市、関市、美濃加茂市、中津川市、瑞浪市、高山市、飛騨市、羽島郡岐南町、笠松町、養老郡養老町、安八郡神戸町、安八町、加茂郡七宗町、白川町、可児郡御嵩町。

 御嵩町は「各自治会に、消防団活動に使うお金について協力できないかと声掛けはしている。強制ではない。昭和40年くらいから続いている」と説明。笠松町は「団員は町内の推薦を受けて入団している。地域の代表や防災の担い手として、団活動以外の地域活動に対する労いや謝礼として各町内会から支払われている」とした上で、「違法性をはらむことは認識している」と回答した。

横浜地裁は違法性示す

 消防団が寄付金を受け取る行為については、違法の疑いがあると認めた判決が過去に出ている。

 2010年、横浜市の消防団が自治会から受け取った寄付金を市の歳入金とせず使ったことは不法行為だとして、市に団へ損害賠償を請求するよう、市民団体が求めた訴訟の判決で、横浜地裁は「市民等から慰労などの趣旨で直接寄付金を受領することは違法となる余地がある」との見解を示した。

 横浜市は、寄付金は「自治会、町内会が行う各種業務」に対するもので条例違反ではないと主張したが、地裁は「行政組織である消防団の名称で行う活動が、防火・防災等の啓発活動とも無関係と言い切れるかは再考の余地がある」と述べている。

 判決を受け、14年に佐賀県唐津市が消防団の寄付金の受け取り禁止を決めた。

読者から賛否 「金額高すぎる/「維持には必要」

 「私も消防団からお金を徴収されたことがある」。岐阜新聞「あなた発!トクダネ取材班」のLINE(ライン)登録者から、消防団に入団していない人に対する出不足金や協力金に、疑問の声が多く寄せられた。一方で「消防団を維持するには仕方ない」と擁護する声も目立った。

 養老郡養老町の30代自営業男性は仕事のため入団を断り、年8万円の出不足金を3年間支払った。「夜間の仕事があり消防活動に参加できないことを自治会長にも相談したが、聞き入れてもらえなかった。何とかならないのか」と憤る。

 本巣市の40代男性会社員は、団員に対する慰労金として年3万円を団員の親が徴収に来て、昨年夏に支払ったことを明かした。「善意の寄付にしては金額が高すぎる」と感じ、市役所に相談したが「指導できないと言われた」という。

 一方、「消防団自体は必要」「方法はいけないかもしれないが、それだけ団員不足が深刻なのでは」といった声も寄せられた。

 かつて消防団で10年間、活動したという高山市の60代農業男性は、町内会の総会の決議を経て全世帯から年2500円の協力金を徴収しているとの情報を寄せた。「団員の確保に苦慮している地域は多いはず。次の世代に引き継ぐためには必要」と話した。

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カテゴリ: 社会