グレイヘア利点たくさん 近藤サトさん「白髪染めしない自由」

2020年01月29日 09:04

「グレイヘアと生きる」と題し自分の意思を持って生きる大切さを語る近藤サトさん=岐阜市橋本町、ハートフルスクエアーG

「グレイヘアと生きる」と題し自分の意思を持って生きる大切さを語る近藤サトさん=岐阜市橋本町、ハートフルスクエアーG

 白髪交じりの髪をあえてそのままにする「グレイヘア」への関心が、中高年女性を中心に高まっている。グレイヘアにイメージチェンジしてブームを巻き起こした1人、岐阜県土岐市出身のフリーアナウンサー、近藤サトさん(51)が岐阜市で講演を行った。近藤さんは、白髪染めをしない「自由」もあり、グレイヘアを切り口に、自分の意思を持って人生を送る大切さを説く。

 草木染の郡上紬(つむぎ)の着物と大福帳の紙で作られた帯に身を包んだ近藤さん。岐阜市を訪ねるのは約20年ぶりと言い、「東京に住む今も地元のことを思っている」と目を細めた。

 近藤さんは講演で、キー局アナウンサー時代の20代後半から白髪が目立ち、当然染めるものという感覚でいたが、東日本大震災を機に変わったと振り返る。「防災袋に染毛剤を入れようとしたところで、自分はなんて浅はかだと」。誰に白髪を染めろと言われたのか、いつまでも若く美しくあるべきという社会通念に縛られるのはやめよう、と思い至った。「約20年間、本当の自分を自分でだまし続けていた」

 はじめ白髪姿の自分を見て、急に老けてしまった、とショックを受けたという。「それでも、黒髪姿のままでは会えなかった人との出会いがあった」。年を重ねると保守的になりがちで新しいことを始めるのはエネルギーが必要だが、今まで続けてきた慣習をやめるだけでも、それをきっかけにして世界が広がると強調。「何かを捨てたら、できた余白から新しい出会いが生まれる」

 源氏物語に白髪は老いの象徴として嘆く表現があるように、古来から若さ至上主義の社会通念があったが、「老い」は「経験値が高い」と置き換えることができると提案。「グレイヘアであるべき、と言いたいのではない。白髪でもいいよ、という選択肢を示したい」と近藤さん。

 冬は服の色味が暗くなりがちだが、白い髪は差し色として柔らかい印象を与え、鮮やかな色ともなじむなど、「グレイヘアには利点がたくさん」と言う。

 「日常の繰り返しを一度疑ってみて。誰かが言っていたから、ではなく、自分がこう思うからこうする、という意思が大切」と語り「頑張り過ぎずに自由を享受して、豊かな日々を過ごして」とエールを送った。

 市主催の講演会は100人の聴講募集に20~80代から多数の応募があり、定員を2倍に増やしたほど。「芸能人のようにグレイヘアがきれいにできない」という聴講者からの相談には「まだらも個性。失敗したと思ったらまた染めてもいい。大切なのは自分で考え選択すること」と答えた。

 また、講演後の岐阜新聞の取材には「価値観が違っても一人一人が自分の意思を持ちながら緩くつながる世の中が理想だが、自分の意思を持てるようになるには経験が必要。若い人へも、学んで経験を積めば自由が得られて、そこからが本当の楽しい人生だよと伝えたい」とメッセージを送った。


カテゴリ: くらし・文化 エンタメ