庁舎跡地見えぬ活用策 議論停滞に地元不満

2020年02月06日 12:31

  • 新庁舎の建設(中央奥)が着々と進む中、跡地活用が注目される岐阜市役所の現庁舎=同市今沢町 
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〈岐阜市まちづくりの針路(1)〉

 地方都市で中心市街地の衰退、空洞化が叫ばれて久しいが、岐阜市も例外ではない。人口減少が進み地域課題が複雑化する中、市政のかじ取りを誤れば、県都の活力アップは望めない。柴橋正直市長の就任から2月24日で丸2年になる。1期目の折り返しを迎えるのを機に、市のまちづくりの現状と課題を探る。

◆答申から1年 市は「検討中」

 「沈滞している議論を活発にしたい」。今年1月、県経済同友会の県都・岐阜市のまちづくりを考える委員会は、移転する岐阜市役所本庁舎の跡地にヘルスケア産業の振興拠点「ヘルスケアパーク」を建設する提言を発表。記者会見した中村源次郎委員長は、こう狙いを語った。

 同市司町で新庁舎の工事が着々と進む一方、跡地の活用策を巡る議論は低調だ。市中心部の約1万5千平方メートルと広大な敷地で、市のまちづくりにも影響を及ぼす一大事業だけに、市民らが気をもんでいる。

 現庁舎の跡地利用を巡っては、2018年12月、有識者らでつくる「市庁舎跡地活用基本構想策定委員会」が、「公園・広場」や「文化・芸術」の機能を導入する案などを盛り込んだ報告書を市に答申。1年以上たったが、跡地の一部を暫定的に公用車駐車場として利用する方針はあるものの、現本庁舎と南庁舎の本格的な活用策は決まっていない。

 柴橋市長は1月末の記者会見で、「人口減少や財政、老朽化する公共施設の在り方を踏まえ、市の基本的な考え方を示す。決して先送りはしない」と決意を語った。ただ「方向性やスケジュールは検討中」と述べるにとどまり、具体的なビジョンは見えない。

 県経済同友会の提言は、市の対応にしびれを切らした格好。通所型介護施設や医療機関、IT企業、ヘルスケア関連企業などを集め、次世代型のヘルスケア産業の拠点とする構想を打ち出し、議論を促す。

 地域の子どもも関心を寄せる。昨年7月には、地元の岐阜小学校(大工町)の児童が、公園・広場にするよう提案。児童は「跡地は市の特別な場所で、どうしたらにぎわいが生まれるかを考えた」と発表した。

 柴橋市長が就任して間もなく2年。この間、議論が停滞する背景として「前市長の色を消したいためにあえて動いていないのでは」と指摘する声も庁内から漏れる。

 細江茂光前市長時代の10年に策定された基本計画では、本庁舎跡地に、市民会館に代わる市民文化ホール(仮称)を整備する構想が盛り込まれた。18年の有識者委員会の答申も、諮問したのは細江前市長だった。

 地元からは現状に不満の声も。明徳自治会連合会の上野裕道会長(79)は「一大関心事だが活用策が聞こえてこない。どうなっているのか」と顔をしかめる。

 現庁舎周辺には飲食店が立ち並び、昼時には多くの市職員が一斉に店に向かう光景が見られる。「商売をしている人は悲壮感が漂っている」。庁舎の移転は死活問題として、「市は地域のことも考えてほしい」と要望する。

 岐阜大の出村嘉史准教授(都市形成史)は「何をつくればよいのかという議論になりがちだが、思い切って建物を建てない方法もある。人が集い滞在する場ができれば、周辺に商業施設が集まる。基本的に広場機能がよい」と提案する。

 【岐阜市庁舎移転】 1966年に建設された現本庁舎をはじめ、南庁舎なども老朽化し、2014年に岐阜大医学部跡地に新庁舎を移転建設することが決定。地上18階建てで18年4月に着工し、21年春の開庁を目指す。一方、跡地は、学識経験者らでつくる市庁舎跡地活用基本構想策定委員会が、細江茂光前市長から諮問を受け、16年から想定される機能などを議論し、18年12月に答申した。本庁舎跡地には、公園・広場を中心に文化交流スペースなどを設ける「公園・広場」、文化創造スタジオを中心に広場や飲食店を併設する「文化・芸術」機能の2案が提示された。本庁舎はアスベスト飛散の懸念から解体が決まっている。南庁舎は、「公園・広場」「商業」「オフィス」機能とする案が盛り込まれた。


カテゴリ: 政治・行政