柳ケ瀬再生どうする 市の基本姿勢は「民間主導」

2020年02月08日 13:54

月1回開かれるサンデービルヂングマーケット。最盛期をほうふつとさせる=岐阜市日ノ出町

月1回開かれるサンデービルヂングマーケット。最盛期をほうふつとさせる=岐阜市日ノ出町

〈岐阜市まちづくりの針路(2)〉

◆高齢の商店主ら諦めムード

 かつて「肩がぶつかるほどのにぎわい」を誇った岐阜市の柳ケ瀬商店街は、入り込み客数が2006年からの10年間で約3割減少するなど、苦境が続く。建物の老朽化が進む中、柴橋正直市長は「中心市街地の活性化は喫緊の課題」として柳ケ瀬を振興策の中核に据える。意欲ある事業者を呼び込もうと空きビルを改修する事業に着手したが、基本姿勢は「民間主導」。有志による新機軸のイベントが人を呼び込む一方、高齢の商店主には商売に対する諦めムードが漂い、官民の一体感が問われている。

 昨年6月、市議会で柴橋市長は柳ケ瀬について「商店街関係者、市内外の人の力を結集し、エリアの価値を高めていくことが大切」と語った。

 民間が運営を主導する催しでは成功例が見られる。中でも毎月第3日曜の「サンデービルヂングマーケット」は通りに最盛期をほうふつさせる光景が広がる。こだわりの雑貨、スイーツなどの露店が並び、学生など普段は少ない客層が集まる。子育て世代も多く、祖父母が孫のためにと買い物する。

 ただ、古くからの商店主たちの思いは複雑だ。料理店を営む60代男性は「イベントで人が集まっても、店にお金が落ちるわけではない。蚊帳の外にいると感じる」とこぼす。

 地価はピークの1990年代前半と比べ25分の1以下に下落し、賃料収入は3分の1以下になった。60代の女性商店主は「後継ぎのいない店主が建物を売りに出したという話をこの10年でよく聞いた。みんな早く肩の荷を下ろしたい。これが本音」と漏らす。取り壊しで駐車場が増え、2004年の47カ所から16年には70カ所を超えた。

 建物は地区内147軒のうち約8割が1980年以前の建築で、多くは耐震性がない。市は2019年度に約2千万円を投じ、民間との連携で建物活用と出店者誘致を図る「リノベーションスクール」を始動した。

 空き店舗は全体の約1割と近年は減少傾向だが、ほかに所有者の意思が不明確な遊休不動産の存在があるためだ。市が建物所有者に実施した調査では、半数以上が活用状況に「満足していない」と答え、維持管理の費用負担の大きさを理由に挙げた。

 リノベーション事業ではデザイナーや学生ら約50人が、改修費や資金調達などの具体策を協議、再生につなげる。18~22年度に、21件の創業事業者を呼び込みたい考えだ。岐阜柳ケ瀬商店街振興組合連合会副理事長で、事業に携わる岡田さや加さん(47)は「自分たちが変える、という当事者意識を共有できるのは大きい」と手応えを語る。

 JR岐阜駅前の再開発、複合施設「みんなの森ぎふメディアコスモス」(同市司町)の登場で、中心市街地はにぎわいの核が点在し、辺りではマンションの建設工事が進む。岡田さんは「柳ケ瀬が元の姿に戻ることはあり得ない。でも、ここは商店街。魅力的な店が一軒でも多くなければ」と在り方を模索する。市は、それを見守るスタンスだ。


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