育児世代は郊外戸建て志向 中心部マンションラッシュ

2020年02月09日 14:05

高島屋南地区再開発ビルの建設を契機に、民間マンションの建設が相次ぐ中心市街地=岐阜市神田町

高島屋南地区再開発ビルの建設を契機に、民間マンションの建設が相次ぐ中心市街地=岐阜市神田町

〈岐阜市まちづくりの針路(3)〉

◆人口増施策ちぐはぐ

 県都の人口減少に歯止めがかからない。国勢調査に基づく岐阜市の推計によると、今年中に人口が40万人を割る見通しだ。中心市街地では再開発ビルやマンションの建設が相次ぐが、高齢化が課題で、若者を呼び込めるかは未知数。戸建て志向が強い地域柄もあってか、子育て世代は地価の高い中心部を敬遠する傾向も見られる。一方、受け皿となる郊外では転入者の受け入れ態勢などで新たな課題も。市のまちづくりに、ちぐはぐさが垣間見える。

 市によると、2018年度の転出者数は1万3339人で、このうち20、30代の若年層が約6割。就職や転職で愛知県などに流出している。

 柴橋正直市長は18年の就任時から「住む人・来る人・働く人を増やす成長都市づくり」を進めるビジョンを掲げ、定住、交流人口の増加、雇用拡大など全方位で施策を展開する。昨年2月の記者会見では「将来を見据えた手を着実に打つ」と人口減少に対応する決意を述べた。

 柱の一つが、教育や子育て支援を重視する「こどもファースト」の施策。幼児教育を専門とする幼児教育課を市教育委員会に設置した。18年度の調査で、子育てしやすいまちだと思う人の割合は、20、30代で45・6%と全体(15歳以上)の58・8%を大きく下回った。市は24年度に50%以上に高める目標を設け、子育てしやすいまちとして浸透を図る。

 中心部では柳ケ瀬商店街の高島屋南地区再開発ビルのほか、完成物件を含め少なくとも6棟のマンションが建設され、計800戸超が供給される。ただ十六銀行の担当者は「中心市街地は高齢化で新陳代謝が進まないことが課題」と指摘。昨年4月時点の中心市街地(徹明地区)の高齢化率は36・5%で、市全域の28・4%に比べて高い。

 市は若者のまちなか居住に応えようと、高島屋南地区再開発ビルに約2千平方メートルの子育て支援施設を整備する。子育て相談や一時預かりに応じるほか、遊具なども置く。担当者は「市施設でこれだけの規模は初めて」と話し、年間8万人の利用を見込む。

 こうした市の思いと裏腹に、今のところ、子育て世帯の居住ニーズは別の場所にあるようだ。

 JR西岐阜駅がある市橋地区では真新しい戸建て住宅が目に付く。地元の市議は「市外から若い子育て世帯の転入が多い」。スーパーや学校もあり、利便性の高さから名古屋市に通勤する世帯が移住している。昨年4月時点で0~4歳児は836人と市内で最多だった。銀行関係者は「岐阜は戸建て志向が強く、若い層は中心部より郊外の西岐阜に住む傾向がある」。

 地元の市橋小は児童数が増え、数年で教室が不足するとも言われているが、市から根本的な解決策は示されていない。会社員の男性(50)=岐阜市市橋=は「まちの姿が変わりつつある中、教育や生活環境を改善し、暮らしやすい町にしてほしい」。高齢者が集まる中心部、若年層の周辺部と都市の分断が表面化する中、地域の実情に即した施策が求められる。


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