「お湯飲めば効果」感染対策デマ拡散 有識者「根拠ない」

2020年02月28日 08:11

あなトクLINEの登録者が寄せたチェーンメールの文面。お湯を飲むよう促している。

あなトクLINEの登録者が寄せたチェーンメールの文面。お湯を飲むよう促している。

 新型コロナウイルスの感染予防策として、根拠のない情報が書かれたメールが、他者に転送を促す「チェーンメール」の形で、会員制交流サイト(SNS)などで広がっている。「これって本当?」との疑問が、岐阜新聞「あなた発!トクダネ取材班」やパートナー社に続々と寄せられている。有識者は「根拠のないデマ。発信元が明確な情報を信じてほしい」と呼び掛ける。

 「武漢ウイルスは耐熱性がなく、26~27度の温度で死ぬ。お湯をたくさん飲めば予防できる」-。

 美濃市の30代公務員男性の無料通信アプリLINE(ライン)に24日午後、こんなメッセージが転送されてきた。「一瞬信じたが、冷静に考えればおかしい。正しい情報を伝える妨げになってしまう」と憤る。大垣市の40代主婦も24日午後に複数の友人から同様のLINEを受け「よく読めば怪しかったが、最初は本当だと感じて、お茶などを水筒に入れて持ち歩こうかなと思った」と戸惑う。

 お湯で本当に感染を防げるのか。聖マリア病院(福岡県久留米市)の本田順一副院長(感染制御学)は「効果はない。26~27度で死滅するなんてあり得ない」と指摘。近畿大の吉田耕一郎教授(感染症学)は「出元の分からない情報を安易に信じるのは危険だ」と警鐘を鳴らす。

 メッセージの中には、実際に存在する病院名を出して「一心病院の看護師から聞いた」という内容もあった。これについて、一心病院(東京都豊島区)の担当者は「うちで出した情報ではなく、内容も不正確。メールに関する問い合わせが十数件以上あり、業務妨害だ」と困惑した様子で話した。

 「医療機関に勤めている方からの情報」などと、あたかも確度が高い情報であるかのような文言が併記されているものも。岐阜保健所(各務原市)の稲葉静代所長は「仮に本当なら世界保健機関(WHO)や厚生労働省などが発表している。不安をあおらないよう、曖昧な情報に惑わされないでほしい」と話し、こまめな手洗いと咳(せき)エチケットの徹底を改めて訴えた。

 日本感染症学会は、お湯を飲めば防げるとの情報について「科学的に証明された成績は存じない」とコメント。具体的な対策のポイントについてホームページで紹介している。

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カテゴリ: くらし・文化 新型コロナウイルス 社会 科学

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