下呂市2路線バス予約制に 観光利用棚上げ

2020年03月26日 09:02

  • 下呂市の馬瀬地域を走る路線バス=下呂市馬瀬惣島 
  • 「ひめしゃがの湯」の前を走る路線バス=下呂市小坂町落合 

 岐阜県下呂市を走る路線バスのうち、馬瀬地域と小坂地域の計2路線が4月1日から「デマンド交通」に転換される。デマンド交通は、利用者があらかじめ利用する便や区間を、電話などで予約することで、予約があったものだけを運行する方式。地域によって予約先や予約の締め切り時間などは異なり、地域住民以外の利用にはハードルが高い。2路線では、地域住民の移動では一定の利便性が保たれる一方、観光客らには利用しづらくなり、自前の送迎を始める観光施設も出てきている。

◆「地域の足確保を優先」

 3月限りで廃止となるのは、濃飛乗合自動車(濃飛バス、高山市)の馬瀬線と下呂湯屋線。4月からは、「デマンド馬瀬」を濃飛バス下呂営業所(下呂市少ケ野)、「デマンド小坂」をライドシステムズ(同市森)が運行する。

 いずれも、市が2019年に策定した地域公共交通網形成計画で、デマンド交通への移行を打ち出していた路線だ。同計画は、人口減少が進む中で、地域の交通網を維持しようと作られた。路線バスについて、下呂市と高山市、中津川市加子母を結ぶ路線、市内の通学に対応した路線は維持を目指す一方、馬瀬線と下呂湯屋線は今月末で廃止してデマンド化すると明記されている。

 馬瀬地域は地域に根付く食文化を売りに外国人観光客の誘致に取り組む「食と農の景勝地」として国の認定を受け、小坂地域は温泉宿に泊まりながら自然を満喫できる「小坂の滝めぐり」があるなど、両地域は観光誘客に取り組んでいる。

 下呂市は2月末、対象の両地域で、運行時刻や電話番号、締め切り時間などの予約方法を記した紙を各戸に配布した。市はホームページでも今後情報を提供していく考えだが、観光客らが情報を得やすくする工夫が必要となる。市は「住民が各地域の中心部に出る、足の確保を優先した」としており、公共交通機関を利用する観光客への対応は今後の課題として積み残された。

◆温泉施設は送迎拡充

 観光施設では、独自に対応するところも出ている。小坂町落合の温泉施設「ひめしゃがの湯」は4月から町内送迎バスを拡充し1日4便を週4日間走らせる。施設の正面には濃飛バスのバス停があり、これまでも車の運転ができない人や観光客が路線バスで訪れていたという。送迎バスには、JR飛騨小坂駅での列車との接続を考慮した時間帯の運行もあり、拡充も検討している。

 少子高齢化が進む中、限られた財源の中で、地域の足を確保する必要がある一方、観光資源を擁する地域では住民以外の利用も視野に入れながらの対応が求められる。


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