神岡じん肺で賠償命令 岐阜地裁判決、8人中3人認定

2020年03月26日 08:42

厳しい表情で「勝訴」の垂れ幕を掲げる弁護士=25日午後1時38分、岐阜地裁

厳しい表情で「勝訴」の垂れ幕を掲げる弁護士=25日午後1時38分、岐阜地裁

 岐阜県飛騨市神岡町の旧神岡鉱山で劣悪な環境で作業したためじん肺を患ったとして、元作業員と遺族の8人が三井金属(東京)と子会社の神岡鉱業(同町)に計2億6400万円の損害賠償を求めた訴訟で、岐阜地裁(池町知佐子裁判長)は25日、会社側に計9075万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 争点となっていた原告がじん肺に当たるかどうかについては、3人をじん肺と認め、5人はじん肺には至らないが健康被害はあるとの判断を示した。

 5人のうちの一人は裁判中に死亡した富山市の男性(69)で、肺を解剖した鑑定結果を証拠として提出していたが、池町裁判長は病変は軽微でじん肺に起因するとは断定できないとして、「じん肺に至らないとする会社側の意見を直ちに排斥するに足るとはいえない」と判断した。その他の4人についてもコンピューター断層撮影(CT)画像上でじん肺を裏付ける病変が確認できない点を重視した。

 一方、安全配慮義務違反については「粉じんの発生を低減させる対策や粉じんの危険性の指導が不十分だった」と認めた。

 裁判は2017年に元作業員や遺族36人が起こし賠償命令が確定している訴訟に続く第2陣の集団訴訟。元作業員の8人(3人死亡)は国のじん肺認定を受けているが、会社側はCT画像を根拠に8人ともじん肺ではないと主張していた。

 判決後、原告側の河合良房弁護団長は「じん肺を肯定させるために5年間やってきたので残念。控訴せざるを得ない」と述べ、三井金属と神岡鉱業は「詳細を確認し、内容を検討してしかるべく対応する」とコメントした。

◆「何のための解剖」遺族竹中さん、認定されず落胆

 「遺族が(肺を)解剖するという悲しい決意をしても、じん肺被害を認めてくれないのか。ぼうぜんとする思い」。旧神岡鉱山の元作業員8人のうち、5人をじん肺と認めなかった25日の岐阜地裁判決。5人の中には、死後肺を解剖し、その鑑定結果を新証拠として提出した竹中久夫さんも含まれていた。原告側は「被害者に寄り添う判決は出ないのか」と悔しさと失望感をあらわにした。

 新型コロナウイルス感染防止のため、裁判所近くで開かれた記者会見に原告の姿はなかった。河合良房弁護団長は「労働者への安全配慮義務を怠った企業側の責任をはっきりさせ断罪した。勝訴ではある」と前置きした上で、「CT画像を重視する被告側の医師の所見と文献に偏った判断がされた。非常に残念」と憤った。

 竹中さんの妻・美恵子さん(70)=富山市稲代=は「何のための解剖だったのか。まだ頭の中が整理できない」と落胆。「(久夫さんの)仏壇に『まだ頑張るから。見とってね』と伝えた」と声を振り絞った。原告団長の小北行雄さん(71)=飛騨市神岡町梨ケ根=も、弁護団を通じて「じん肺と認められるまで戦っていく」とコメントした。


カテゴリ: 社会