大人も好きヤングドーナツ なぜ「ヤング」?

2020年04月12日 09:00

  • 実は岐阜県で製造されているヤングドーナツ。昨年末に累計販売数5億パックを突破したという=各務原市鵜沼各務原町、宮田製菓 
  • ヤングドーナツの開発秘話を教えてくれた新美則康常務(左)と林康人工場長。アレンジ料理などの動画投稿にも寛容だ 
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◎実は岐阜で誕生、製造

 駄菓子の定番とも言える「ヤングドーナツ」。4個入り1パック40円前後で本格的なドーナツの味わいを楽しめるとあって、子どもから大人まで全国にファンがいる。実は岐阜県で誕生し、岐阜県で製造されている。2018年に発売30周年を迎え、昨年末に累計売り上げ数5億パックを突破したロングセラーの人気商品。なぜヤングなの? 製造元の宮田製菓(各務原市鵜沼各務原町)を取材した。

ヤングドーナツの開発秘話を教えてくれた新美則康常務(左)と林康人工場長。アレンジ料理などの動画投稿にも寛容だ

 ヤングドーナツは1パックに直径4センチほどの一口サイズのリング状ドーナツが4個並ぶ。蜂蜜を練り込んだ、しっとりとした食感のハニードーナツで、表面にまぶしたグラニュー糖が甘さを引き立てる。定番の味だけでなくチョコ味もあるほか、プロ野球団や人気キャラクターとのコラボ商品もある。工場にはヤングドーナツが1時間に5600~5800パック製造できる機械が3台備わり、各務原から全国の駄菓子屋やコンビニ、スーパーなどへ届けられている。

◎「裏面は...」

 「岐阜県で製造されていると知って、驚く県民の方は多いです。製造者名が記されたパッケージの裏面は見ないですよね...」。そう話すのは林康人工場長(61)。同社があるのは航空宇宙産業が盛んな各務原市。その東部、鵜沼地区に本社と併せて唯一の工場を置く。ドーナツとキャラメルの製造販売の2本柱で、年商24億円(18年度)。約90種類の商品のうち、ヤングドーナツの売り上げが最多で約15%を占める。

 今でこそ"ご当地"メーカーだが、もともとは愛知県の企業だった。現在の宮田大司社長の祖父、初代社長の宮田正直氏が1950年、名古屋市中村区でキャラメルの製造販売を始めたのが第一歩。その後、同県大口町に本社と工場を構えたが、89(平成元)年に現在地に完全移転した。

 そして、その移転の年に誕生したのがヤングドーナツだ。「岐阜県で生まれたことは確か」とは新美則康常務(56)。ゼロからの商品開発ではなく、売り方を変える"発想の転換"でヒット商品を生み出した。

 子どもが喜ぶ商品を作ろうと、大袋にたくさん詰めて万人向けに販売していたハニードーナツを4個ずつ小分けにしてみたのが始まり。子どもの小遣いで買える価格(最初は30円)で、若いという意味の「ヤング」を冠して売り出すと、駄菓子コーナーに置かれるようになり、売り上げが右肩上がりで増えたという。林工場長は「一個一個は本格的なドーナツ。駄菓子の割においしいと思ってもらえたのでしょう」と話す。

◎公認ソング

 2018年に発売30周年を迎えたヤングドーナツ。子どもの頃に親しんだ世代が大人になり、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」でアレンジ料理や大食いチャレンジを紹介する人もいる。同社は「基本的には全てウエルカム」(新美常務)と寛容で、中にはロック調の「ヤングドーナツの歌」を"勝手"に制作して同社から公認を受けた女性ロックバンドもある。

 「美濃を制する者は天下を制す」とは岐阜県を特徴付ける有名な言葉だ。「岐阜県は日本の中心にある。物流を考えれば中心地にあるのは便利。この地で末永く、ずっと愛される商品を作りたい」と新美常務。ロングセラー商品を岐阜県から全国に送り出す。


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