「まちの古本屋」ネット注文や激励メール続々 店主「心の支えに」

2020年05月09日 08:34

立ち上げたオンラインショップを紹介する深谷由布さん=岐阜市美殿町、徒然舎

立ち上げたオンラインショップを紹介する深谷由布さん=岐阜市美殿町、徒然舎

 岐阜市美殿町の古書店「徒然舎(つれづれしゃ)」は先月、市内に店を構えてから10年目を迎えた。現在、新型コロナウイルスの影響で店は臨時休業しているが、オンラインショップを開設。店主の深谷由布(ゆう)さん(44)は「思いがけず多くの人から注文やメールを頂いている」と反響に驚き、これまでの歩みを振り返る機会になっているという。

 2009年に店舗を持たずに開業し、イベントなどに出店。11年に同市殿町に最初の店を構え、14年に美殿町に移った。2年前から同町の商店街で始まった古本市「美殿町本通り」の企画運営を担うなど地元のイベントに関わるほか、店では絵本の原画などの企画展やトークイベントも開き、「まちの古本屋」として定着している。

 例年、春は商店街の春祭りや各地での古本市などのイベントでにぎわう時期だが、新型コロナ感染拡大の影響でどれも中止に。同店もやむなく先月1日から休業に入り、オンラインショップを立ち上げた。すると、思いがけない反響があった。早い時期の休業を心配するメールや「再開後に必ず行きます」という激励メールが続々と届いた。高価な古書をまとめて購入して支援する人も。日頃、店では「お客さんに静かに過ごしてもらいたい」とあえて積極的には話し掛けてこなかったが、深谷さんは「これほど店を大切に思ってくださっている人がいるんだ」と実感し、「頂いた言葉を心の支えに頑張っていこう」との思いを強くした。

 オンラインショップで千円以上購入した人には深谷さんが選んだ文庫を1冊プレゼントし、そこからさらに客とのやりとりが生まれている。

 先月30日、全国の書店を支援するクラウドファンディングが立ち上がったが、徒然舎は参加しない方針だ。深谷さんは「現時点で商品を持ち、販売できる状態にある。商品の購入という形で支援してもらえることがありがたい。店を再開した際にまた来ていただけるよう、その日まで頑張りたい」と語る。

 休業は今月末までの予定で、現在は倉庫の書籍の整理や入れ替えに取り組む。「再開した時には、本棚の商品がかなり変わっていると思うので楽しみにしていてもらえたら」と話した。

◆記者のひと言

 深谷さんを知ったのは7、8年ほど前の柳ケ瀬の古本市。当時の印象は優しくて穏やかな人。昨年、古書店で企画展を取材した際、客や地域との向き合い方を聞き、強い信念を持った人でもあると知った。休業中に客から店に激励メールなどが寄せられているのは、深谷さんが大切にしてきた「必要とされ、信頼される『まちの古本屋』でありたい」という思いが客にも伝わっている証しだと感じた。


カテゴリ: くらし・文化 新型コロナウイルス