味覚障害なければ出歩いていたかも 退院男性「軽症も怖い」

2020年05月31日 08:08

 新型コロナウイルスに感染し退院した岐阜県内在住男性が、岐阜新聞社の取材に応じた。男性はクラスター(感染者集団)が発生した岐阜市のナイトクラブ「シャルム」の利用客。検査を受けるまで自宅の一室にこもって過ごし、家族や職場に感染は広がらなかった。県内では6月から学校が再開されるなど、「新しい生活様式」を実践しながら日常生活を取り戻す段階に入るが、感染の第2波の懸念も高まることになる。男性は症状が軽かったといい「感染しても気付かなかったり、体調不良でも我慢したりして、感染を広げてしまうのが怖い」と語り、体調の細かな変化にも警戒すべきと訴える。

 3月末の夜、知人から男性に電話があった。「シャルムで感染者が出たらしい。最近行かなかったか」。男性はぞっとした。数日前に訪れていたからだ。

 家族や職場に迷惑を掛けないよう翌日には自宅の一室にこもり、保健所に連絡した。部屋を出るのは入浴とトイレの時のみ。捨てられる紙容器に盛り付けた食事を家族に部屋の前に置いてもらい、着替えた服は袋に入れて部屋にためた。

 知人から電話をもらう前に会食した別の知人5人と連絡を取った。全員が自宅に待機して毎朝検温し、確認し合った。男性の家族も外出を控えた。

 数日後、男性は食べ慣れた手料理の味がいつもと違うことに気付いた。プロ野球選手が味覚障害を訴え、感染が判明したニュースを思い出した。数日後に家族全員が検査を受け、男性の感染が確認された。

 入院後も男性の症状は軽かった。CT検査で肺に影が見つかったが、違和感があるくらいで息苦しさはなかった。2週間ほど平熱と微熱を繰り返したが、倦怠(けんたい)感もなかった。「知人からの連絡や味覚障害の症状がなければ、出歩いて感染を広げたかもしれない」と振り返る。

 シャルムは従業員と利用客、その家族ら47人に感染が判明し、県内で最も大きいクラスターとなった。「まさか自分が感染するとは思わず、違う世界の話だと感じていた」と男性。身近に潜む感染リスクの恐ろしさと予防策の大切さを訴え、早期に検査を受けられる体制の充実を求めている。


カテゴリ: 新型コロナウイルス 社会