本家の10分の1、遊歩道も整備 富士山(岐阜県美濃加茂市)

2020年06月19日 09:29

  • 本家の10分の1サイズで、木々に覆われた岐阜県の「富士山」。富士山麓では山の合間に田んぼが広がる 
  • 登山道には「富士山頂まで400m」といった道しるべが立ち、登山者を励ます 
  • 富士神社のほこらが鎮座する富士山頂。登山アプリに表示される国土地理院の地形図にも「富士山」と記されている=いずれも美濃加茂市山之上町、富士山 

 今夏は新型コロナウイルスの感染を防ぐため、富士山(標高3776メートル)は山頂まで登れない。だが、岐阜県にも富士山はある。北海道の蝦夷(えぞ)富士(羊蹄(ようてい)山)や香川県の讃岐富士(飯野山)といった全国に数ある、愛称で呼ぶ郷土富士ではない。国土地理院の地形図に「富士山」と記された正真正銘の富士山だ。ウェブ版地形図の地名読み上げ機能を使うと、はっきりと「ふじさん」と読まれ、ひらがなも表示される。

 美濃加茂市山之上町にあることから、山之上富士山と呼ぶこともある。標高は357メートルで、静岡県と山梨県にまたがる"本家"のおおよそ10分の1。きれいな円すい形ではないが、本家が小さくなって周囲の山に埋もれ、標高が低いため、山頂まで木々が覆った-そんな姿にも見える。

 登山道に向かう途中の案内看板に、山の名前の由来が記されている。その昔、地元の村に熱心に富士信仰をする者がいた。本家の富士山に登り、年老いて再びお参りできないことを悲しみながら祈ると、手のひらで小さな阿弥陀仏の金像が輝いた。喜んで村に持ち帰り、山にほこらを建てて金像を安置。富士山と名づけたという。

 今月上旬、富士山登頂を試みた。山頂までは隣接する「みのかも健康の森」から遊歩道が整備され、2時間もあれば登って下りられる。標高差200メートルほどを一気に登るため、息は上がるが、道沿いには「富士山頂まで400m」といった道しるべが立ち、勇気づけられる。富士神社のほこらが鎮座する山頂は木々に囲まれているが、その隙間から美濃加茂、可児市の街並みが望めた。

 登山道で出会ったのは老夫婦と親子連れ、日系ブラジル人男性の3組。名古屋市から夫婦で訪れた会社経営の男性(62)は「看板に富士山と書いてあったので興味を持った。家に帰って富士山に登ったと自慢したい。疲れる前に登頂できるので登山の練習に最適」と笑顔を見せた。

 "富士山麓"では山の合間に田んぼが広がり、植えられたばかりの若々しい苗が規則正しく並ぶ。草刈りをしていた地元農家の男性(70)=山之上町=は「地元では古くから『お富士さま』と呼んで親しんできた。古里のシンボルで、個人的には誇りを持っている。広く愛される山になってほしい」と思いを語った。

【案内】

 ▽富士山 所在地=美濃加茂市山之上町。交通=東海環状自動車道美濃加茂インターチェンジから車で10分。問い合わせ=みのかも健康の森、電話0574(29)1108。


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