岐阜が誇る「カニチップ」不動の人気

2020年06月21日 11:26

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  • 老若男女に愛されるカニチップ=羽島郡岐南町野中、ハル屋 
  • カニチップを手に持つ野田晴彦専務 

◆販売開始40年

 サクサクした食感に、舌の上でとろけるような口当たりや、口の中に広がるカニの風味がたまらない。1日平均約1万個が製造されるこのスナック菓子の名は「カニチップ」。製造している「ハル屋」(羽島郡岐南町野中)の専務取締役の野田晴彦さん(55)は「岐阜で作っているお菓子と知ると、多くの人が驚きますね」と話す。回転が早いスナック菓子市場で販売開始から40年たっても売れ続ける、長寿を誇る人気商品だ。

 スナック菓子メーカー最大手「カルビー」の人気商品の一つ「ポテトチップス」だけでも、内容量が異なる物も含め年間約200の新商品が発売されるという。日本スナック・シリアルフーズ協会によると、大手スーパーやコンビニでは、新商品でも早ければ約2週間で商品が扱われなくなるといい、「入れ替わりがめちゃくちゃ早い」と野田専務。そんな中でも、根強い客層をつかんでいる。東海地方や近畿地方の一部が販売先だ。

◆パウダー

 ジャガイモのでんぷんを主原料にカニやエビなどが練り込まれた生地を揚げ、おいしさの秘訣(ひけつ)のカニのエキスや粉末しょうゆ、食塩などが入った「カニパウダー」と呼ばれる粉末をまぶして作る。一度食べ始めると、ついつい止まらなくなる。今では東海圏外に引っ越した人から「売っていないので送ってほしい」と求められ、「インターネットで見たけど、どうしたら買えるのか」などの問い合わせがくることもしばしば。

 誕生したのは、1981年。ハル屋を創業した野田専務の父・穆(あつし)社長(84)が「何か新しい商品を」と頭をひねっていたところ、三重県四日市市の生地メーカーに「おいしいけど、売れないんだよ」と生地を勧められたのがきっかけだ。野田専務は「(父は)おいしいという言葉に引っかかったんだと思う」と推測する。

◆試行錯誤

 ただ、発売直後からいきなり「看板商品」にはならなかった。当時は返品も多く、売れない時代がしばらく続いたという。窮地を救ったのは、研究熱心な母の故勝子さん。味などに次々改良を加えていった。

 当初は塩味だったが、「日本人は甘辛い味が好き」という点に着目し、しょうゆ味へシフト。「味も濃すぎるといずれ飽きられる。たくさん食べてもらうには(カニパウダーを)まぶす量も多すぎなくていい」と勝子さんの教えが今なお生きる。口溶けを意識した「軽い食感」にするため、乾燥時間やフライの温度なども試行錯誤。結果、他の人気スナック菓子とは違う、硬くもなく、口の中にべたつかない軽い食感を実現した。さらに返品された商品が、湿気が原因で味が保てていないことに気付き、袋の材質の向上などにより、本来の味を保てるようになった。平成の初め頃から徐々に売れ始め、人気を不動にした。

◆客層拡大

 東海エリアで菓子のバイヤーを務めていた男性は「飽きない味。食感が軽くて本当に食べやすい。商品の力で販路を広げていった印象がある」と話す。地元スーパーが、すぐに売れなくても商品棚に置き続けてくれたおかげで、少しずつ客層も広がったという。

 特に近年は「全国的にご当地物がはやりだして、ここ数年は特に販売していない地域から問い合わせが多い」と野田専務は語る。

 世代を超え愛されるカニチップ。野田専務は「『昔からある』を『大昔からある』商品に、そして(味が)変わらないねと言ってもらえるように、今後も作っていきたい」と意気込んでいる。


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