テレワーク模索続く 業務効率が向上、公平性には不安

2020年06月22日 12:02

4月中旬から自宅でテレワークを続ける男性。「これからの時代、働き方改革としてはいいのではないか」と語る=大垣市内

4月中旬から自宅でテレワークを続ける男性。「これからの時代、働き方改革としてはいいのではないか」と語る=大垣市内

 リビングにキーボードをたたく軽快な音が響く。4月中旬から岐阜県大垣市内の自宅でテレワークを続ける男性会社員(32)は「今日はこれをやろうと決めることで、オンとオフを切り替えやすくなった」と在宅勤務のメリットを挙げる。新型コロナウイルスを契機に始まったテレワークが、新しいライフスタイルの可能性を示唆している。

 当初は不安も感じていた。勤め先は、揖斐郡大野町加納の米こうじ・漬物のもとメーカー「厚生産業」。農協が運営する直売所向けの営業を担当している。新商品のPRや商品の配置など、担当者と会わずにメールや電話で済ませるのには当時は抵抗があった。

 だがいざ始めてみると、パソコンとスマートフォンがあれば、自宅でも十分できると感じるようになった。遅くまで居残るような残業もない。「働き方改革にもつながり、むしろ今の時代に合っている」。子どもと過ごす時間が増え、共働きの妻の負担を軽くできたとも語る。

 感染拡大に伴う外出自粛の要請は、企業の就業形態に変化をもたらした。東京商工リサーチが19日に発表した調査結果によると、5月にテレワークを実施した県内企業は、回答のあった232社のうち93社(40・1%)に上り、3月の調査時から29・3ポイント上昇した。

 厚生産業では3月中旬から試験的に取り入れ、4月10日に発令された県独自の「非常事態宣言」を受けて本格的に導入。本社の社員90人のうち営業部や研究室などに所属する27人を対象とし、現在も継続中だ。

 社内会議にはビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を活用、営業部では商談にも取り入れた。モニター越しの相手にも伝わるよう丁寧な説明を心掛けるといい、吉田稔広経営管理部長(54)は「前より内容の濃い商談ができたという声もある」と話す。

 通勤や移動の時間の短縮という効果も大きい。片道1時間かけて出社していた社員もいる。ある社員は従来の通勤時間を新商品の提案書作成などに振り分けることができたという。吉田部長は「効率的な面もあり、なじんできた」と語る。今後も継続していく考えだ。

 菓子製造・卸売の鈴木栄光堂(大垣市俵町)では、社員約150人のうち営業を中心に40人ほどが、4、5月の2カ月間テレワークを行った。実施者に行ったアンケートでは「リラックスして勤務できる」「サンプル品を試食の際は郵送が必要なので効率が落ちる」などの意見が寄せられた。

 鈴木伝最高経営責任者(51)は「自分のペースで落ち着いて仕事ができるのはメリットだと思う」と話し、今後も希望する社員がいれば認める方針だ。ただ「自宅で高いモチベーションで仕事ができるか、工場勤務者には導入は難しく公平性が問題」と不安な点も挙げる。「通信環境の整備などハード面と、モチベーションの維持といったソフト面が充実すれば、テレワークが定着する可能性は十分ある」と指摘する。

 一方、4月初めからテレワークを始めた西濃地域の別のメーカー幹部は「徐々に解除していく」と明かす。「定量的な仕事は担えるが、業務全体の雰囲気のようなものが的確に伝わらない」と指摘する。

 感染予防のため一気に加速したテレワーク。コロナ禍収束後も定着するのか。企業や従業員の模索は続く。

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 岐阜県に出された政府の緊急事態宣言が解除され、1カ月が過ぎた。コロナ禍は人々の暮らしや働き方、意識をどう変え、何をもたらしたのか。第2波への備えとして現場を検証する。


カテゴリ: 新型コロナウイルス 経済