飛騨古川小唄は古関裕而作曲 朝ドラ「エール」主人公

2020年06月25日 08:39

  • 古関裕而作曲と確認された「飛騨古川小唄」のレコード=飛騨市役所 
  • 「飛騨古川小唄」の制作を発表する1950年の前田一誠古川町長の文書=飛騨市古川町向町、市歴史文化調査室 

 岐阜県飛騨市古川町で民謡愛好家らに歌い継がれてきた「飛騨古川小唄」が、NHK連続テレビ小説「エール」の主人公のモデルである作曲家古関裕而(こせき・ゆうじ)(1909~89)の作品であることが、研究者の指摘で確認された。終戦直後に旧古川町が著名音楽家を頼り、観光振興に取り組もうとした歴史が背景にあった。

 飛騨古川小唄は50年に制作され、古川祭の起し太鼓の勇壮さや山河の美しさを音頭調で歌っている。作詞は岐阜市の作詞家峰陽之助さんで、日本舞踊名古屋西川流の西川鯉三郎さんの振り付けも加わるなど、地元の第一人者が関わった。

 しかし、時代とともに古関の作曲であることは忘れ去られ、古川町民謡協会や市も把握していなかった。「古関裕而 流行作曲家と激動の昭和」などの著書がある日本史学者の刑部(おさかべ)芳則さん(42)が、市観光協会に問い合わせたことで市が調査し、古関の作曲だと確認できたという。

 刑部さんは「同時期に手がけた校歌などとは曲調が大きく異なり、古関の意識の高さが分かる」と指摘。「古関は戦後の復興を志す自治体や学校から膨大な件数の作曲依頼を受けていた。現在は大半が忘れられており、再び注目されるのはうれしい」と話した。

 市の調べで、飛騨古川小唄の制作は観光振興を狙う町の一大政策だったことも分かった。当時の前田一誠町長は、町観光協会代表の名で全国の新聞に広告を掲載し、歌詞を募集。267点の応募作品の中から優秀作を選んだ。その後は毎年発行される「町政要覧」の冒頭に、歌詞が25年以上掲載され続け、町民の目に触れていた。

 市歴史文化調査室の本永義博さん(70)は「前田町長は町おこしをこの1曲に託し、長く歌い継がれるように古関さんらに頼んだのではないか」と分析した。


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