進まぬ研究、院生不安 岐阜大閉鎖2カ月

2020年06月25日 07:44

研究室の扉に利用者管理シートを貼り、室内の人数を限定して実験を進める大学院生ら=岐阜市柳戸、岐阜大

研究室の扉に利用者管理シートを貼り、室内の人数を限定して実験を進める大学院生ら=岐阜市柳戸、岐阜大

 新型コロナウイルス対策のため、岐阜県内の大学で構内への原則立ち入り禁止が長引き、実験やフィールドワークが必要な大学院生の研究に影響が出ている。6月に入り、徐々に規制は緩和されつつあるが、オンラインでは対応できなかった2カ月以上の「遅れ」が生じた。とりわけ多くの実験を必要とする理系の修士1年生からは「研究課題さえ決まっていない」と今後を不安視する声が上がっている。

 岐阜市柳戸の岐阜大は4月6日から入構を禁止。大学図書館も閉鎖し、自宅での研究を推奨した。院生が研究テーマを決めるための教授面談は延期となり、他大学からの編入生は、学内のネットワークを活用するための個人アカウントを取得できず、論文のデータベースなども閲覧できなかったという。

 同大応用生物科学部の食品微生物学研究室の中川智行教授(49)は「院生の研究は遠隔ではできないことが多い。研究室が使えないのは致命的な問題」と指摘する。

 同学部では研究のメインとなる遺伝子やタンパク質の解析装置、微生物の培養器などは研究室にしかなく、立ち入り禁止で研究はストップ。今月4日から実験、実習を目的とした立ち入りは許可されたが、同学部から院へ進学した大学院生(23)は「仮説を検証するための実験計画がずれ込み、実質的には3カ月ほどの遅れ。実験を減らすしかない」と頭を抱える。

 "密"を避けるための施設の対策で、研究が進まないとの声もある。換気のため研究室の窓や扉を開けると、繊細な温度管理や実験が難しい。1台の実験台を使える人数も限られ、入室時間も短時間に限定されるという。部屋の利用予定を常に確認しているという大学院生(22)は「装置の使い方や実験方法を学びたいが、利用時間に気を遣わざるを得ない」と困惑する。

 また、学会や研究会が相次いで中止され、他機関の研究者の前で学生が行う報告や共同調査の機会も失われた。同研究室の「岐大酒」開発の産学連携に興味を持ち、日本酒の研究をしようと編入した大学院生(22)は、「日本酒シンポジウムが取りやめとなりショック。モチベーションを保てるのか、論文が書けるのか心配」と話した。

 中川教授は「修士1年生の研究活動は、就職活動や博士課程につながる基礎となる学び。研究の質を低下させないようサポートしたい」と話した。


カテゴリ: 教育 新型コロナウイルス 社会