国道、封鎖2分後に崩落 飛騨川氾濫

2020年07月09日 08:34

  • 住宅や道路に流れ込んだ土砂=8日午前、下呂市小坂町小坂町(読者提供) 
  • 山から集落に流れ込んだ土砂や流木を片付ける住民=8日午後2時25分、下呂市小坂町大垣内 

 地面をたたき付けるような猛烈な雨、荒れ狂う濁流が道路をえぐり、崩れた土砂が家屋を襲った。8日午前まで、飛騨地域を中心に降り続いた豪雨は、飛騨川水系の各地に河川の氾濫や道路の崩壊、土砂崩れと甚大な被害をもたらした。「命の危険を感じた」。経験したことのない自然の猛威に住民たちは恐怖した。

 「道路に陥没ができ、急いでパイロンを置いて封鎖した。道路が崩れ始めたのは、その2、3分後だった」。岐阜県下呂市小坂町門坂の国道41号。増水した飛騨川の濁流にのり面が削られ、崩れ落ちた。近くで喫茶店を営む男性(71)は「濁流の音が大きくて、振り返るまで崩落に気付かなかった。命拾いした」と不安を口にした。バケツをひっくり返したような雨が夜通し続き、国道は川のようになっていた。茶色く濁った川はみるみるうちに水かさを増した。「上流から大きな石が『ゴーン』とすさまじい音を立てながら転がってきた」。濁流に削られて、道路の崩落は300メートルに及んだ。

◆恐怖の雨「経験ない」

 市内では浸水被害が相次ぎ、半数以上が小坂町に集中した。山から濁った水が激しく流れ落ち、土砂崩れが民家を襲った。雨がやんだ後、道路は泥で覆われ、流木が散乱し、住民は泥をかき出す作業に追われた。JR高山線の線路も一部が土砂で覆われた。下流の同市萩原町中呂では飛騨川の氾濫で国道41号が水没し、住宅数棟が浸水した。住民の一人は「飛騨川の水に加えて、谷川の水が飛騨川に流れ込めず浸水したようだ」と話した。

 上流の高山市や下流の加茂郡白川町でも被害が相次いだ。同市久々野町無数河の製材業の男性(59)は午前3時ごろ、自宅隣の工場で木材が崩れる音を聞き、目を覚ました。近くを流れる飛騨川と無数河川があふれ、工場が1・5メートルほど浸水した。2時間で水は引いたが木材は散乱し、製材機械が壊れた。「命があったからこうしていられるが、機械を替えるには3千万円かかる。廃業しないといけないかもしれない」と肩を落とした。同市朝日町では、県道御岳山朝日線が土砂の流出で通行止めとなり、100世帯269人が孤立した。胡桃島地区の旅館経営者(56)は食糧は備蓄でやりくりするが、「山肌の所々から水が流れ出ている。今後雨が降ればもっと被害は広がる」と不安を漏らした。

 加茂郡白川町河岐では、飛騨川支流の白川の増水で川沿いの住宅が浸水。自営業の男性(72)は倉庫の約1・3メートルの高さまで水が押し寄せ、商品が水浸しになった。男性の妻(72)は「年に1度ぐらい水が上がってくるが、ひどくてもくるぶしまで。今回は経験がないほど増水した」とため息をついた。


カテゴリ: 社会