コロナ禍に豪雨追い打ち 観光回復への道、寸断

2020年07月12日 07:37

  • 山側から土砂が流れ込み、線路が埋まったJR高山線。国道41号の崩落も含め、交通網の被害が観光に与える影響は計り知れない=11日午後7時10分、下呂市萩原町上呂 
  • 豪雨による直接の被害はなかったが、観光への影響が懸念される下呂温泉街=11日午後、下呂市湯之島 
  • 下呂温泉街の飛騨川。水が引いたばかりの河川敷には流木や土砂が残されている=11日午後1時、下呂市幸田 

 梅雨前線により記録的な大雨に見舞われた岐阜県飛騨地方では、交通網や道路網に被害が生じ、宿泊予約のキャンセルなど観光面への影響が出ている。新型コロナウイルスの影響から回復しつつあっただけに、地元関係者は「自然には逆らえないが、今後どうなるのか」と深いため息を漏らす。

 豪雨により、国道41号は下呂市小坂町門坂で崩落による通行止めが続く。JR高山線は11日に下呂-高山間を除き運転を再開したが、特急は運休。不通区間は土砂流入などの復旧に時間を要する見通しだ。

 下呂市では北部の小坂町や萩原町に被害が集中。下呂温泉街の旅館に直接の被害はなかったが、宿泊予約のキャンセルが出ており、観光関係者は「警報が続いているし、やむを得ない」と受け止める。下呂温泉観光協会の瀧康洋会長は「復旧のためにも市の経済を活発にしなければならない。下呂温泉は安全だと発信していきたい」と前を向く。

 200以上の滝が集まり雄大な自然を楽しめる同市小坂町の小坂の滝。新型コロナの影響で、7月にようやくガイドツアーを再開したばかりだったが、アクセス道路が土砂崩れで通行止めとなり、今月のツアー予約を全てキャンセルした。

◆客足戻り始めたのに...夏観光打撃

 2年前の西日本豪雨で損壊した遊歩道は無事だったが、降り続く雨のせいでコースを点検できず、8月以降のツアーも見通しは立っていない。ガイド(41)は「シャワークライミングなど夏の本格シーズンが始まる時期。ようやく再開と思っていたのに、頼みの綱が切れてしまった」と肩を落とす。

 高山市などは6月中旬、全国の移動自粛の解除に合わせキャンペーンを展開し、観光客を呼び込み始めたばかりだった。

 市中心部の旅館「お宿山久」では、7~11日の予約がほぼなくなった。コロナ禍から少しずつ客足が戻り、11日は満室になるはずだった。おかみ(53)は「明るい兆しがせっかく見えてきたのに(コロナが直撃した)春に逆戻りしたよう」とこぼす。公共交通機関でも土砂崩れなどの被害が出ており、影響の長期化を懸念する。

 一時孤立状態にあった奥飛騨温泉郷のある旅館では今も断水が続く。アクセス道路の通行止めもあり、泣く泣く8~13日の予約をキャンセルした。おかみ(61)は「コロナの影響で売り上げがかなり減ったところに追い打ちをかけられた。道路の復旧次第なので見通しが立たない」と嘆く。別のホテルの担当者は「ニュースで連日取り上げられ、世間の見方がどうなるか」と風評被害を不安視した。


カテゴリ: 新型コロナウイルス 社会