豪雨「家流れる」窓から救助 高山市、消防団員ら奔走

2020年07月16日 08:54

女性を助け出した窓を示す中西康太さん=高山市久々野町渚

女性を助け出した窓を示す中西康太さん=高山市久々野町渚

 記録的な豪雨により、岐阜県高山市でも県内の他の被災地と同様、多くの住宅や道路に被害が出たものの、けが人はいなかった。同市久々野町では、人的被害を免れた背景に、人命救助に奔走した地元の消防団員の活躍があった。

 「避難してください」。久々野町渚に住む消防団員中西康太さん(22)は8日未明、自宅そばの飛騨川の水が堤防を越えるのを見て、川に近い住宅数軒に呼び掛けて回った。「自分の家のことよりも、人の命が最優先。早く避難してもらいたい一心だった」

 1人暮らしの女性(87)にも声を掛けたが、川の流れる音にかき消されて聞こえなかったのか、返事はない。周りはまるで川のようになっていた。「やばいと思った。家ごと流される恐れもあった」。他の団員らと共に再び訪れ必死に声を張り上げると、返事があった。家の勝手口は水圧で開かなかったため、窓から女性を抱きかかえ、近くの親戚の家へと連れ出した。

 女性は当時1階で寝ていた。脚に冷たさを感じて目覚め、明かりをつけると、水が床上10センチほどまで来ており2階へ移動した。間もなく中西さんらが慌ててやって来て、助け出された。

 前日に町内会から避難を求められたが「脚の具合が悪く、出ていく自信がなかった。50年近く住むが、浸水したことはなかったので大丈夫だと高をくくっていた」と振り返る。玄関の履物が勝手口まで流れ着き、漬かった家財道具は処分せざるを得なくなった。「まさかこんな風になるとは夢にも思わなかった。皆さんが一生懸命助けてくれたおかげで、けがもなく本当に幸せ」とほっとした表情を見せた。


カテゴリ: 社会