大雨で土砂、のり面崩落 高山市の棚田大打撃

2020年07月19日 08:57

土砂で埋もれた棚田を見つめる中家小兵衛さん=高山市滝町

土砂で埋もれた棚田を見つめる中家小兵衛さん=高山市滝町

 記録的な大雨により、土砂崩れの被害を大きく受けた岐阜県高山市滝町。「ぎふの棚田21選」に選ばれる美しい棚田も例外ではなく、至る所でのり面が崩れたり、土砂で田が埋まったりした。昔ながらの農村の風景を奪った災害に、田の所有者は落胆を隠せない。

 「自然相手だから仕方ないが、ここまで痛めつけられるとは。受け入れがたい現実だ」。会社員中家小兵衛さん(63)は、眼下に広がる棚田を見てそうつぶやく。あちらこちらで崩れ、土がむき出しになった田の斜面。土砂は下の水田を巻き込み、5月に植えたばかりの青々とした苗に覆いかぶさった。所有する5カ所のうち、無事なのは1カ所だけだった。

 滝町には作付けされる棚田は現在30カ所ほどあり、地元の住民5人が所有する。標高750メートルに位置し空にそびえ立つ様子から「天空の棚田」と呼ばれ、市の農山村景観重点区域にもなっている。

 今回の災害で、全体の半数近くは収穫できないくらいまでダメージを受けた。用水路にも土砂が流れ込んだため、水を引き入れられなくなった。中家さんは「被害を免れた田んぼにも影響が出そうだ」と心配する。

 仕事の傍ら、休みの日に田んぼの管理を続け、退職した後は毎日手入れしようと思っていた。しかし、中家さんの自宅にも土砂が押し寄せ、田んぼの修復に費用を充てられるかどうか悩みは尽きない。被害に遭ってから数日間は眠れなかった。「田んぼを続けたいけれど、元に戻すかはこれから決める。ただ、こんな災害が毎年続くと諦める人もいるのではないか」と、寂しげな表情を浮かべた。


カテゴリ: 社会