明宝ハムと明方ハム、ルーツは同じ おいしい食べ方聞きました

2020年07月29日 14:13

  • どこか懐かしさを感じるパッケージの明方ハム(左)と明宝ハム。量と値段はやや違う 
  • 切り分けたハム。左の4枚が明方ハムで、右4枚が明宝ハム 
  • 国産豚もも肉から筋や血管を取り除く処理をする従業員=郡上市明宝気良、明宝特産物加工 
  • 熟成した肉を袋詰めにする工程。この後、金型にはめてゆでる=郡上市八幡町旭、JAめぐみの加工事業所 

 岐阜県民なら誰もが知っている、オレンジ色のフィルムで包装された奥美濃の高級プレスハム。二つの銘柄があり、明宝特産物加工(郡上市明宝気良)が製造販売する「明宝(めいほう)ハム」と、JAめぐみの加工事業所(同市八幡町旭)が生産する「明方(みょうがた)ハム」だ。メーカーは違うが、名前もパッケージもよく似ている。岐阜の食卓を長年支えてきた二つのハムの歴史をひもといてみた。

 それぞれの製造工場で聞いた話を総合すると、二つのハムの起源は同じ。1953年、郡上郡奥明方村(現・同市明宝)で、地元農協が山間地の畜産振興などを目的に、ハムを生産したことが始まり。「明方ハム」として売られると、手作りであることや添加物の少なさが評判となり、70年代後半から人気が高まった。

 80年代後半、大量生産に向けて、工場を郡上郡八幡町(現・同市八幡町)に移転する計画が持ち上がったことをきっかけに、歴史は二つに分かれる。明方村(奥明方村から村名変更)が、第三セクター(現・明宝特産物加工)を設立し、新たにハムの生産を開始。商品名は「明方の宝に」との願いを込めて「明宝ハム」とした。この時、明方ハムの開発者らが明宝ハム側に"移籍"したが、明方ハム側は残った職員で、味を守り続け、製造を継続した。その後、明方村は村名も明宝村に変えた。

◆おいしさの秘密は手作業

 こうして歴史を振り返れば両方とも「本家の味」。おいしさの秘密は、100%国産豚肉を使った昔ながらの生産工程にある。鍵となるのは手作業だ。

 いずれの工場でも、テーブルの上に並んだ大量の豚のもも肉を、熟練の作業員たちが筋や血管を包丁と手で丁寧に取り除き、赤身と脂身に分ける。JAめぐみの加工事業所の森賢吾営業課長は「機械ではできない細やかな手作業がハムづくりの一番大事な部分」と強調する。

 サイコロ状にした肉に塩を加えて熟成し、うまみを引き出す。熟成期間は明宝ハムが約1週間、明方ハムは10日から14日とやや差がある。最後に熟成肉をオレンジ色のフィルムに袋詰めして金型にはめて、ゆでる。手間は掛かるがシンプルな製法だ。

 明宝ハムは、青じそ入りハムなど15アイテムをそろえており、明宝特産物加工の名畑和永専務は「贈り物や土産物にもなるよう種類は豊富にしたい」と語る。

◆おいしい食べ方は?

 おいしい食べ方を郡上市民に聞くと「生のまま、マヨネーズを付ける派」が圧倒的に多い。森課長は「ポテトサラダに加えたり、ハムカツにするのがお勧め」、名畑専務は「少しだけ電子レンジで温めて常温にすると食べやすい柔らかさになる」と教えてくれた。

 両方のハムを交互に食べてみると、「明宝」は肉々しい歯ごたえがあり、塩味の効いた「明方」は舌触りなめらかだ。郡上八幡旧庁舎記念館では、両方のハムが入ったギフトセットが売られている。二つのハムの歴史に思いをはせながら、食べ比べを楽しんでみてはいかが。


カテゴリ: くらし・文化 グルメ