森林散策、温泉、健康体験...白川郷は滞在型観光へ

2020年07月30日 09:44

23日からの4連休中も大勢の観光客でにぎわった白川郷合掌集落。滞在型観光地への転換に取り組む=大野郡白川村荻町

23日からの4連休中も大勢の観光客でにぎわった白川郷合掌集落。滞在型観光地への転換に取り組む=大野郡白川村荻町

 世界遺産の合掌集落がある岐阜県内でも有数の観光地・大野郡白川村。政府の観光支援事業「Go To トラベル」キャンペーンが始まり、村内の民宿、旅館も活気を取り戻しつつある。昨年は年間観光客数が215万人に到達したが、観光地としてさらなる飛躍のためには滞在型観光への転換が欠かせない。宿泊客数はここ数年、全観光客のうち約5%と横ばいなだけに、個人客を増やして滞在時間を伸ばすとともに体験型観光メニューの開発がその鍵を握る。村ではふるさと納税の返礼品としてのメニュー開発や、林野庁のモデル事業などを活用した取り組みを始めた。

 ふるさと納税の返礼品としての滞在型観光メニューの開発は、村独自の特産品づくりと並んで納税額拡大のキラーコンテンツとなり得る。村では7月1日に飛騨市の通販支援業「ヒダカラ」に業務委託し、ふるさと納税の目標額を前年度比約10倍の5000万円に設定。ポータルサイトを三つ増やし、村内事業者による魅力ある返礼品開発を支援する取り組みを開始した。寄付額は約20日間で6月1カ月分の10倍の85万円に上り、担当の観光振興課産業振興係の小関弘翔さんは「まずまずのスタート」と手応えを語る。

 新たな体験型観光メニュー開発は1件もなかったが、小関さんは「合掌造りの民宿孫右エ門による1組での全館貸し切りなど新たな返礼品メニューも開始した。体験型では昼食付きのそば打ちがあるが、新たなメニューのアイデアをどんどん掘り起こしていきたい」と村内宿泊施設の可能性を模索していく。

 林野庁モデル事業の滞在型観光開発は、企業の健康経営や働き方改革に着目した新産業「森林サービス産業」の一環。まずは補助を受けてモニターツアーを行い、森林散策、温泉、ヨガ、食事など村全体を巻き込んだ健康づくりに特化した体験型観光メニューを開発する。

 今月3日のモデル地域選定後、2度の研修会を開き、脈拍や血圧など一日の健康状態を記録できる端末や、アドバイスを受ける医師などについて学んだ。実施主体となるNPO白川郷自然共生フォーラム、白川郷まるごと体験協議会の事務局を務めるトヨタ白川郷自然学校の山田俊行校長は「10、11月に行うモニターツアーの募集、村内の宿泊業者や商工会員らを集めたワークショップを行う」と今後の展開を語る。

 滞在型の新たな観光地づくりには地域活性化はもちろん、村の魅力を広く知ってもらうことで将来的な移住人口につなげ、人口減少に歯止めをかける狙いがある。村の人口は2019年4月に1500人台になり、45年に1185人まで減少する試算がある。増加は難しいが、1500人台の維持を目標に掲げる。村の明るい将来に向けた新たな挑戦の行方が注視される。


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