コロナ不安、高校生に拡大 SNSで感染生徒情報や中傷拡散

2020年08月05日 09:24

ツイッターには、感染者が確認された高校に関する投稿が並ぶ

ツイッターには、感染者が確認された高校に関する投稿が並ぶ

 岐阜県内の新型コロナウイルスの感染者が若年層で増加する中、感染が確認された高校やその生徒に関する情報が会員制交流サイト(SNS)で拡散されている。部活動の大会辞退や再休校に加え、SNS上の誹謗(ひぼう)中傷によって、生徒間では動揺が広がっており、専門家は「情報との向き合い方を含めた精神的なケアが喫緊の課題」と訴える。

 7月16日に岐阜市の公立高校で教諭の感染が確認された後、ツイッターには、高校名にハッシュタグ(検索目印)を付けた投稿が瞬く間に増えた。「(高校の生徒が)塾にいる やばい」「自覚なさすぎ」といった中傷のほか、「バス、あぶない」という不安をあおる内容が相次いだ。一部の部活動が予定していた大会への出場を取りやめたことに対し「対戦相手も嫌だろう」「なんでこんな大事な時期に感染したんだ」と非難の声も書き込まれた。他の高校に感染が広がると、感染経路を詮索する投稿も見られた。

 SNS上の誹謗中傷を巡っては、若者に人気のテレビ番組に出演していた著名人が中傷を受けた後に亡くなり、社会問題化したことで、国が対策強化に向けた検討を加速させている。

 岐阜県弁護士会の安田和広弁護士は、中高生のSNS利用について「一般論で言えば、書き込む側の匿名性により、安易に投稿する特徴がある」と指摘。「事実であっても、公共性や公益性を目的としない場合は社会的地位を下げると名誉毀損(きそん)に、報道で公表されていないことを書き込むとプライバシー権の侵害になり得る」と警鐘を鳴らす。

 この高校では生徒から「バスに乗って学校に来るのもはばかられる」といった声もあり、SNSの利用の仕方や投稿に振り回されない心の育成を目的に、コロナ禍後の社会変化を考えるオンライン授業を企画。講師を務めた情報モラル教育研究所(岐阜市)代表の上水流信秀さんは「風評被害の事実を記録し、分析することを通して、SNSに過剰に反応しない力を身に付けてほしい」と全校生徒に呼び掛けた。

 上水流さんは、SNSでの誹謗中傷に対し、生徒たちの心のケアを支援する仕組みづくりの重要性を訴える。「SNS利用率が高い中高生の感染となった場合、報道と同時に情報が拡散され、投稿を目にするのは想定できること。ネットの誹謗中傷に対し、教育行政のサポート体制を早急に整える必要がある」と話した。


カテゴリ: 新型コロナウイルス 社会