外国人にコロナ予防周知  自治体、多言語チラシやSNS活用

2020年08月18日 21:13

 岐阜県や県内の自治体が、在住外国人に新型コロナウイルスへの警戒を呼び掛けている。美濃加茂市や可児市では在住外国人を中心としたクラスター(感染者集団)が発生。言葉の違いが情報の共有を阻んでいるとして、チラシや会員制交流サイト(SNS)で発信したり地域のキーパーソンに啓発を依頼したりしている。一方、差別や偏見につながらないよう担当者らは注意を払っている。

 在住外国人が人口の1割近い美濃加茂市。同市は感染注意の啓発をキリスト教の牧師ら外国人コミュニティーのキーパーソンに依頼している。

 同市深田町のキリスト教の教会。美濃加茂ライオンズクラブの山田実貴人会長ら役員や市職員が訪れ、ポルトガル語で予防を呼び掛けるチラシやポスターをゴンサルベス・ダビ牧師(39)に手渡した。チラシなどは同クラブが制作した。

 この教会には約100人が通う。8割がブラジル人という。ブラジルから9歳で来日したダビ牧師は「日本語が分からない人もいる。マスク着用や手洗いなどを一人一人に伝えたい」と感謝した。

 同市は外国人が集まる場所に市職員らを派遣し、感染予防を呼び掛けている。教会には昨年度から市職員らが回って下地をつくってきたといい、今月初旬に教会13カ所を訪問。食料販売店や学校、保育所など合わせて約20カ所を訪れた。市の担当者は「外国人コミュニティーの中でも感染予防の情報を広めてもらいたい」と期待する。

 県は多言語で、かつ複数の手段で情報発信に取り組む。県在住外国人相談センター(岐阜市柳ケ瀬通)は14言語に対応。県国際交流センター(同)はチラシやSNSを使い、英語やタガログ語、ベトナム語などで知事のメッセージ、マスク着用や手洗いの呼び掛けを発信している。

 相談件数は増加傾向にある。今年4~7月の件数は479件で、前年同期と比べて約8割増えた。7月は約3割が新型コロナ関連。健康についての相談が多いという。

 県内の在住外国人は過去最多を記録している。昨年12月末に前年から一気に5千人増え、6万人を超えた。リーマン・ショックのあった2008年12月末を上回った。

 懸念されるのが外国人への差別や偏見だ。県は7日に感染拡大を防ぐための緊急対策を改定。その中に在住外国人の感染防止対策を徹底すると同時に「外国人に対する差別、偏見につながらないよう十分配慮」と明記した。

 古田肇知事は「私たちは在住外国人のことを外国籍の岐阜県民と言っている」と強調。外国人に対する差別が起きることへの懸念を示し、「多文化共生の正念場だ」と話す。


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