働くって楽しい!「劇的写真」最高の笑顔引き出す写真家

2020年08月29日 09:39

  • 従業員や職人ら15人が笑顔で写る「劇的集合写真」=今月3日、羽島市上中町、東松エクステリア(杉山雅彦さん提供) 
  • 打ち合わせをする杉山雅彦さん=同 

 働く人の姿を生き生きと、かつ面白おかしくとらえた「劇的集合写真」の形で紹介する写真家、杉山雅彦さん(48)=静岡市=が今月3日、岐阜県羽島市の外構工事会社を撮影した。これまで全国の企業や団体など100社以上を撮ってきたが、県内では初めて。新型コロナウイルスの感染拡大で働く形の変化を迫られ、職場を失う人も出る中で、杉山さんは「『働く』をもう一度考えるきっかけにしてほしい」と訴える。

 「この辺に石をばらまきましょう」「笑顔でやりきって!」

 社屋の玄関先に並べられた重機やクレーン車。居並ぶ従業員や職人を前に、映画監督さながら座り込んだ杉山さんから次々と指示が飛ぶ。

 こぼれる砂利や水がほとばしるホースなど手にする小道具は、すべて実際に仕事で使うもの。事前の入念な打ち合わせで業務内容を把握し、撮影に盛り込む。趣旨を理解してもらうことで従業員が役者になりきる。

 コロナ対策で本番以外はマスクを着けてもらい、準備を含めて撮影は8時間。「ほぼ合成なしの一発撮り」が信条だけに「もう1回!」とやり直しを繰り返し、22テーク目でようやく最高の笑顔を引き出した。

 写真スタジオを経営する杉山さんは、写真専門学校を卒業後のサラリーマン時代に仕事に行き詰まり、退職した経験がある。「働くって、本当は楽しいはず」。そんな思いを込め、2011年から働く人たちにカメラを向ける。

 チェーンソーで木くずを飛ばす林業者、崩れる本に驚く書店員、花咲かじいさんのように種をまく農業者...。昨年3月には、74業種が写る写真集「ニッポンのはたらく人たち」(パイインターナショナル刊)も出版した。

 今回の撮影は、テレビで杉山さんの活躍を知った東松エクステリア(羽島市上中町)の東松功社長(39)が持ち掛けて実現。コロナの影響で売り上げは2割ほど落ちているといい、会社を盛り上げようという思いだった。自身も大きなつちを振り上げて出演しており、「若い人たちはこういう(現場の)仕事に就きたがらないけれど、仕事の楽しさを分かってもらえれば」と、求人の効果も期待する。

 杉山さん自身も、コロナ禍で4月からぱったりと仕事が途絶え、この日が3カ月ぶりの撮影だった。「自分の仕事が世の中に欲してもらえると信じていたが、働けるって、素晴らしいですね。(撮影を通し)働いている方々にかけがえのない思い出をつくりたい」と話した。


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