水郷地帯で「さぼてん村」なぜ? 土に理由

2020年08月31日 09:47

 Q.瑞穂市内を走っていると、田んぼの中に広大な栽培用ハウス群が出現し、「さぼてん村」の看板が目に留まります。知人からサボテンを贈られたこともあり、市では多くのサボテンが栽培されていると聞きました。サボテンは乾燥地帯で見られるものだと思っていました。水郷地帯の瑞穂市で生産が盛んなのはなぜでしょうか。(瑞穂市・50代男性)

 A.甘柿の代表的品種「富有柿」の発祥の地として知られる瑞穂市では、サボテンも市が誇る特産品の一つ。みなさんもサボテンが砂漠などの乾燥地域で栽培されていると思っていませんか。揖斐川や長良川など多くの河川が流れる市内でサボテンの栽培に励む唯一の生産者、岐孝園(同市美江寺)の加藤孝義社長(75)に聞きました。

 同社は、「さぼてん村」と呼ばれるガラス温室やハウス約160棟の計約10万平方メートルで、サボテン約500万本を生産。1社当たりの生産規模は日本一とのことです。

 加藤さんは、コメ農家の跡取りでしたが、小学生の時から自宅にあったきれいな花を咲かせるサボテンに魅了され、10代の頃からサボテン農家になると決意。猛反対した家族や親族を何とか説得し、1964年から柿畑で栽培を始めました。さらに、現在は田んぼを活用し面積を拡大。日本では砂漠の状態を再現する栽培方法もありますが、サボテンも水が必要で、栄養が豊富な田んぼの土が適しているそうです。

 砂漠という過酷な土地で生き抜くために、サボテンは、茎が多肉質に姿を変えるなどし、効率的に水分を維持できるようになった「順応する植物」。ヒット商品にも恵まれ、瑞穂市で順応して育ったサボテンが全国で販売され、加藤さんの「日本一になる」との信念が実を結びました。

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カテゴリ: くらし・文化