手作りの服で「おうち時間」楽しく ハンドメード作家・後藤麻美さん

2020年09月02日 09:08

  • 「繊維のまち・岐阜でものづくりへのインスピレーションが湧いた」と語る後藤麻美さん=東京都の「もりのがっこう」オフィス 
  • 8月に出版されたソーイング本「暮らしが豊かになる服作り」 

◆作りやすい製法紹介、ソーイング本を出版

 岐阜市出身のハンドメード作家後藤麻美さん(36)=神奈川県=が代表を務めるファッションブランド「もりのがっこう」。ころんとした形のバッグや、シンプルで着心地の良いワンピースなどがネットショッピングで好評を博し、ハンドメードフリーマーケットサイトでは人気1位を獲得している。後藤さんは8月、2冊目となるソーイング本「暮らしが豊かになる服作り」を出版。子育てをしながら携わる、大好きな服作りについて聞いた。

 後藤さんは1983年生まれ。幼い頃から羊毛や綿の温かみある小物が好きで、木之本小(現徹明さくら小)2年生の時、裁縫に目覚めた。憧れのワンピースを自分で作ってみようと、見よう見まねで布と針と糸を手に取った。そんな姿を見た母からミシンを買ってもらったのもその頃。試行錯誤し、奮闘しながら作り上げたワンピースはどの服よりもお気に入りだったという。

 本格的な服作りに携わりたいと、大垣桜高校の服飾デザイン科に進学。さらに名古屋の専門学校で服のパターン制作を学び、卒業後はアパレル店員などをしていた。

 長女出産後、裁縫は趣味の範囲で続けていたが、ママ友たちの求めで幼稚園や学校用品を手作りすると、出来栄えが評判となり2008年、園児用バッグなどを扱うネットショップ「もりのがっこう」を開店。長男出産後いったん休止し、14年にレディースブランドとして「もりのがっこう」を再度立ち上げた。神奈川県に移住、18年に株式会社を設立した。今は公式ショップサイトでオリジナルのバッグや服など約200点を扱う。

 手作りの良さは「作り手の思いが感じられるところ」といい、18年に1冊目の本「使い勝手のよい いつものバッグ」を出版。累計1万個を販売した「ころんと」シリーズのバッグを、多くの人に手作りしてもらいたいと、その製法を惜しみなく収録した。

 今回の「暮らしが豊かになる服作り」では、おうち時間が楽しくなるような、愛着を持って長く着られる洋服の手作りを提案。ショップサイトで人気のシャツやワンピースなどについて、作りやすいようアレンジした製法を紹介する。実物大の型紙2点が付録。

 ブランドのコンセプトは「わたしは、わたしらしく」。女性目線で使いやすく、長持ちする衣服を届ける。「一般にネットショッピングでは、画像の見た目は良くても、実物は生地がすぐに駄目になってしまうような製品が多い」と嘆く。

 生まれ育った岐阜は繊維のまち。問屋街に良質で安価な生地が種類豊富に集まるため「ものづくりに良い環境だった」。繊維のまちで生まれ育ったからこそ「安かろう悪かろう」ではない、良質な服を届けたい、という思いがある。そんなものづくりへの思いや子育ての日々は、1万人超のフォロワーを持つ写真共有アプリ「インスタグラム」で発信している。

 中3の長女、小5の次女、小3の長男、2歳の三女と4人の子を持つ母親でもある。「子どもたちがしっかりしてくれていて、夫も含め、できる人が家事をする仕組みになっている」と家族に感謝する。

 次女が幼稚園年中の頃まで暮らした岐阜については「子育てがしやすかった。自然が多く、人も温かい。子どもが泣いていると声を掛けてもらえたりして、穏やかに子育てできた」と懐かしむ。「岐阜には思い出がたくさん。山や川に囲まれて幸せな時間を過ごした。都会も楽しいけれど時間の流れが早い。岐阜はゆったりとしていて、長良川沿いの川原町、飛騨高山、郡上おどりなど、文化も感じられて、ものづくりの刺激になった」

 今回の本の制作中に新型コロナウイルス感染が拡大。価値観が一変するのを目の当たりにし、今まで以上に物を大切にしたいと、より心豊かに過ごしたいと考えるようになった。「自分で作った物は特別。ものづくりの時間を増やして、豊かさを感じてほしい」と語った。

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 「暮らしが豊かになる服作り」はブティック社、1540円(税込み)。「もりのがっこう」の公式ショップサイトはhttp://www.morigaku.jp


カテゴリ: くらし・文化