宅配便サイン法的には不要 置き配、非対面主流

2020年09月21日 07:58

配達物を積み、宅配に出発する岐阜中央郵便局の車=岐阜市清住町、同局

配達物を積み、宅配に出発する岐阜中央郵便局の車=岐阜市清住町、同局

 新型コロナウイルスの影響による巣ごもり消費で需要が伸びている宅配便。感染防止対策の一環として、運送各社は受取人と配達員が直接顔を合わさない「非対面、印鑑・サイン不要」で受け渡す方法を取り入れている。そこで浮かび上がるのが「そもそも受け取りのサインや印鑑って必要なの?」との疑問だ。山陰中央新報「さんいん特報班」に寄せられた声を基に現状を探った。

 「荷物は玄関前に置いてください」。受取人がインターホン越しに伝えると、配達員は指定場所に荷物を置き、配達完了。受取人と対面せず、次の目的地に向かった。

 コロナ禍で宅配大手のヤマト運輸や佐川急便は今年2~4月、代金引換などを除き、非対面の受け渡しを開始。対面でもサインを省略できるようにした。

 配送のルールとなる国土交通省の「標準宅配便運送約款」や、各社の約款には一般的な宅配便の受け取りに「サインや押印が必要」との文言はない。国交省も約款でサインや押印を求めていないと認める。

 では、サインや押印をする理由や始めた時期は何なのか?

 宅配大手は「明確な決まりは約款にないが、荷物を渡した証跡として社内規定でサインをもらっている」(ヤマトホールディングス)、「サービス履行を示すため」(日本郵便中国支社)、「1957年の創業時から実施」(佐川急便)と回答。送り主が会社の場合、誰が受け取ったのか報告を求められるケースがあり、各社は「証明書」として利用しているようだ。

 受取人とインターホン越しに会話して非対面で受け渡す際は、受け渡し完了が判然とするため、ドライバーがその旨を配達票に記載し、サインや押印に代えているという。

 岐阜県内の宅配状況はどうか。岐阜中央郵便局(岐阜市清住町)でも、受取人の要望に応じて荷物を玄関前に置くなどの対応をとるようにしているが、「非対面の受け渡しを要望する人はほとんどいない」と担当者。「お客さんにとって配達員から直接受け取り、サインをすることは、安心感につながっているのでは」と推察する。法人客の多い西濃運輸(大垣市田口町)も「受取人からサインや押印をもらうことはトラブル回避につながるので重要」との考えだ。

 一方、インターネットを使った電子商取引(EC)市場が拡大する中、需要が増えているのが、留守の場合に玄関先や自転車のかご、宅配ボックスなど指定の場所に商品を置く「置き配」だ。特に宅配ボックスは大型の新築マンションのほぼ全てに設置され、古いマンションでも改修して取り付ける動きがある。駅やスーパーマーケットでの設置も全国的に進んでいる。

 宅配便の取扱個数は増加の一途をたどり、1989年度に年間約10億個だったのが、2018年度は43億701万個に急増。宅配業界は配達員不足にあえいでいる。再配達の負担も大きく、置き配はコストを減らし、業務を効率化する利点がある。懸念される盗難被害に対しては、大手保険会社が置き配の荷物を標準的な家財保険の補償対象にする動きも出ている。

 コロナ禍で、より取扱個数の増加が見込まれる宅配便。テレワークに伴い、一部企業などで「脱はんこ」が進んだように、置き配をはじめとした非対面が日常になるかもしれない。(山陰中央新報、岐阜新聞社)

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カテゴリ: 社会